第41話 オウム返し
ふわぁ~っぁあっ。
あー、朝の背伸びが気持ちっいぃ~。
今日もいい天気。
イイ事がありますように。
「あぁ、起きたか?おはようユウ。ホラ?ん?」
テントから出てきた僕にアビゲイルさんが笑顔で挨拶してきた。
腕を広げて。
「おはようアビー。やっぱりしないと、ダメ?」
「私は待たないぞ?フフフッ」
言いながらもアビゲイルさんはおはようのハグをしてきた。
相変わらず胸が...あぅ。
昨日の水浴びを思い出しちゃった。
(ちょっと、いろんな
ダメだ、恥ずかしいよぉッ!)
「お前らいっつも朝からそんな感じなワケ?つか嬢ちゃん真っ赤だぞ?」
「お、おにいふぁん、ふぁふへてぇー!」
毎日こんなんじゃ身が持たないよ。
日に日にアビゲイルさんのスキンシップが近くなってきてるし。
なんか危険な気がする。
ワンちゃんは好きだけど、アビゲイルさんはオオカミらしいし。
ちょっと怖い、かも。
お姉ちゃんだけど。
「ホラ、早く離してやれよ。過保護だと思春期の時に嫌われるぞ?」
カインさんッ!今では救世主みたいでカッコイイッ!
後光が見えそうだよッ‼
「ユウは可愛いなぁ。恥ずかしがってるその顔が
(なんか、ほら、赤ずきんを食べるオオカミみたいで、ねぇ?)
「アビーはお姉ちゃんだけど、ちょっと、怖いよ?仲良くなったら僕を
「ユ、ユウッ!?
アビゲイルさんは僕の言葉を聞いて凄いショックみたいだった。
お姉ちゃんだけど、もう少し
「クククッ。嫌われてやんのッ。ザ・マ・ぁ・み・ろ。プププッ」
(あれ、カインさんの後光が見えなくなった。
なんか汚い。)
「グググググッ。貴様そこで膝をついて頭を下げろ。今なら首を
「殺す気かよッ!?」
(え?アビゲイルさん?それはダメじゃない?死んじゃうよ、ソレ)
そんな殺伐とした空気をぶった切る子がこの場に突如現れた。
その声はテントの方からだった。
「あれれれれ?ここはどこかな?どこかな?
お姉さん達誰かな?誰かな?」
声がした方を見たら女の子が不思議そうに首を傾げていた。
あれ?テントから起きてきたみたい。
森の中でケガをしていた小さな青緑髪の鳥の女の子が。
あんだけガヤガヤしてたらやっぱり起きるよね?
「あ、おはよう!昨日森で倒れてたんだけど覚えてる?」
「あ、おはよう!昨日森で倒れてたんだけど覚えてる?え?」
(ん?聞いた言葉を返されて、え?って、え?
あれかな?オウム返し?もしかしたら鳥の獣人だから?)
「あ~、覚えてるよ?覚えてる。私ね、私ね、お母さんの為にお薬の葉を探してたの。探してたの。そしたら後ろから何か殴られた?から?意識なくなちゃった?みたい?みたい?」
(誰かに襲われたのかな?でもあの時他に人は見なかったし...?)
「そうなんだ。でも1人で森に入ったら危ないよ?僕達が手伝ってあげようか?」
「そうなんだ。でも1人で森に入ったら危ないよ?僕達が手伝ってあげようか?え?」
お母さんの為にこの子は頑張ってたみたいだから、僕も手伝ってあげたい。
そう思って勝手に決めちゃった。
それにしてもこの子なんでも真似しちゃうみたい。
でも毎回首を傾げて聞いてくるから可愛い。
「え?え?ホントッ!?私のお母さんの為に手伝ってくれるの?くれるの?あのね、あのね、エリ草って葉なんだけど珍しい葉なの。分かるかな?分かるかな?」
(あれ?エリ草ってあの
僕の腰袋にまだ入ってると思う)
「僕が持ってるからあげる。危ないから一緒に君の家まで行こっか?」
「僕が持ってるからあげる。危ないから一緒に君の家まで行こっか?え?」
「いいの!?いいの!?エリ草って高いんだよ?何も返せないけどいいの?いいの?」
「アビー?いいよね?」
「あぁ、ユウのモノだからな。好きにしたらいい」
「ホント?ありがとう、アビー。」
アビゲイルさんも嬉しそう。
気付いたらカインさんはテントを片付け始めてた。
(流石!カインさんは仕事が早い。
出来る人って感じがします!
アビゲイルさんは害虫扱いしてるけど)
「僕はユウっていうんだ。君の名前は?」
「僕はユウっていうんだ。君の名前は?え?」
「君の名前はユウっていうんだ。ユウっていうんだ。私はエヴリンっていうの。こう見えても13歳だからね?13歳だからね?小さいけど大きいんだからね?」
そ、そうなんだ。お姉ちゃんなんだ。
6歳くらいだと思ってた。
見た目で決めつけちゃダメだよね。ダメだよね?
「じゃあユウ一緒に、帰ろう!帰ろう!お姉ちゃん達も一緒に帰ろう!帰ろう!」
「そうだね、一緒に帰ろう。」
「そうだね、一緒に帰ろう。え?」
「うん!帰ろッ!帰ろッ!」
(なんとも明るいお姉ちゃんだ。
話していたら楽しくなってきた)
「アビー、カインさん。早く行こっ!」
「あぁ、ユウ。早く行こうか。さっさと片付けろよ?害虫」
「お前なぁッ‼少しは手伝えよッ!おいッ!置いていこうとするなッ!待てってッ!聞けよッ‼」
僕達はこの青緑の女の子を家まで送り届ける事にしたんだ。
行き道ついでだったし、ね。
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