第13話 ルナという存在は?
「ユウはいったい何をしているんだ?」
ルナとの会話が余程おかしく見えたらしい。
僕には分からないけど。
アビゲイルさんに声をかけられてどうしようか考えた。
アビゲイルさんにはこの世界の事を色々聞きたい。
(話してもいいのかな?)
だけど話すにしても自分の事がよく分かんない。
僕はアビゲイルさんに何をどこまで話せばいいか悩んだ。
何が本当で、何が現実なのか。
自分だってよく分かっていないんだ。
「えぇとですね、」
僕は変に思われない範囲でアビゲイルさんに話した。
いろいろ考えたけど結局
男だったとか胸に剣を刺されたとか、言ったところで答えは出ないと思うし。
だから記憶のない女の子が森をさまよって、
記憶がないなら色々聞いても変に思われないし、逆に聞かれることもないしね。
僕にとっては都合がよかった。だから記憶喪失。
だけど僕はどうしてもアビゲイルさんに聞いてみたい事があったんだ。
それは、ルナの事を知りたいという事。
疑問に思う事があったから答えが知りたかった。
実はこの村に来る道中僕はルナに直接聞いたんだ。
でもルナは答えてくれなかった。
僕の中にいると思われるルナは元々のこの身体の持ち主だと思って
身体は明らかに子供。
前世の僕と変わらない大きさ。
だけど子供にしては
(魔法もそうだけど何故遠く離れたアビゲイルさんを見つけることが出来たの?
まるでアビゲイルさんが今から何をするか分かっているような事も言っていたし。
普通の人に同じことは出来ないと思う)
だから思ったんだ。
普通じゃない。じゃあルナは何なんだろう?
出来る子なんて言葉では納得できないし。
だから本当にこの身体の持ち主なの?って。
何か分かんないだろうか?
ルナは本当にもう1人の僕なんだろうか?
分かんないからアビゲイルさんにもう一人の僕だと思うルナの事も話してみたんだ。
「そうか、無事でなによりだったな。しかし、心に語り掛けてくる?ずっと一緒?むぅ?」
あまり驚いてはいないようだった。
その方がいいのは確かだけど、アビゲイルさんは顎に手を当てて真剣に考えてくれている。
親身になって考えてくれる事が素直に嬉しい。
けど何か分かる事あるのかな?
「なにか心当たりはありますか?」
そう聞く僕にアビゲイルさんは首を横に振る。
「いや、サッパリだ。知らん。分からん」
実にキッパリと言い切った。
期待した僕が悪かったのかもしれない。笑うしかない。
「はは、は。ですよねー?」
だけどアビゲイルさんは「しかし」と言葉を繋いだ。
「父から聞いた話なのだが、世界のどこかにはセイレイと呼ばれた妖精がいたらしい」
セイレイ...?僕の頭の中では精霊という言葉がよぎる。
「その妖精は人でも魔物でもなく自然に
(自然にあるもの?んー?)
僕の中では精霊は
ゲームだと精霊が風やら水やら作り出す存在だったからね。
まぁ、ゲームによっては精霊王か神様のどっちかだったけど。
と言ってもゲームの話だからこの世界とは関係ないかもしれないけどね?
「もしかしたらルナはセイレイ?
かもしれない、って事?」
「姿が見えないのに声は聞こえるのだろう?自然にあるなら、まぁ可能性の話だが・・・」
そう言われたらそんな気がしてくる。
そうか、ルナはもしかしたらセイレイかもしれないのか。
僕はもしかしたら思い込んでいただけなのかもしれない。
色々あってルナが心の中にいるものだって勘違いしたのかもしれない。
もしこの身体がルナのモノだったなら扱いに困る。
だけどこの身体は
じゃあこの身体は一体?
なんで僕はこの世界で生きているんだろう?
転生してない?でも今の僕は女の子になっているし。
僕はさらなる疑問に混乱した。
〈...............〉
「ルナ?」
ルナの存在を感じた。
多分僕しか分からないと思う。
「ルナがいるのか?」というアビゲイルさんの質問に僕は頷いた。
ルナは僕だけにこう伝えた。
〈...気になるなら...鏡で自分を見たらいい...〉
鏡?なんで?僕はアビゲイルさんに鏡がないか聞くのであった。
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