第3話 謎の少女 ルナ
森に入ってどれくらい経ったんだろう?
太陽はまだ頭上にあるから昼頃なのは間違いないと思う。
ちなみにあのゴブリンは結局僕を見失って諦めたみたいだ。
「ハハハ、この僕を捕まえるなんて100年早いッ!」
僕は今この身体でも登れる大きさの木の上に隠れている。
しかし、いくら逃げたところで家に帰れるアテがないからか溜息が出る。
(ここは一体どこなんだろう?というより本当にここは地球なのかな?)
僕がまだ男だった時はゴブリンなんて地球にいなかったはず。
もしいたならUMA扱いでテレビで騒がれていた筈だし。
「そもそも性転換してる僕の身体の方がビックニュースだよ...。はぁ。」
〈.................〉
寂しさからかついつい独り言が増えてきている。
「僕は今からどうしたらいいんだろう?明るいうちに人を探した方がいいよね?」
〈...そうだね...会うべき...〉
「へ?幻聴...?」
聞き間違えでなければ女の子の声が聞こえた気がする。
しかし周りを見回しても、ゴブリンどころか誰一人もいない。
「いろいろ起こりすぎて頭がおかしくなったのかも。ははは。」
〈...そうだね...おかしいね...〉
「ッ!?誰!?どこにいるの!?そして馬鹿にしないでよッ‼?」
僕は木から降りて声の主を探した。
けれど、静かな森の中に誰かの気配は感じない。
でも間違いなく聞こえた声はこの場所に僕以外の存在がいることを証明している。
「ねぇ君はどこにいるの?
この森は危ないから僕と一緒に人のいる所まで行かない?」
〈...?...
(ん?どういうこと?)
僕には女の子の姿は見えない。
でもずっと一緒にいるらしい。
いくら探しても全然見つからないのに。
(僕よりかくれんぼが得意だなんて、忍者かよっ!)
〈...遊んでないで...こっち...〉
「こっち?ん~?
もしかしてそっち?」
〈...うん...そっち...〉
なんとなくだけど女の子が言っている方だと
こっちには何かがあるらしい。
信じていいのか分からないんだけど、不思議と大丈夫な感じがする。
「分かったよ。そっちの方に行ってあげるけど危ない気がしたら違うとこ行くからね?」
〈...大丈夫...ルナは出来る子...〉
(この声の子ルナって言うのか。
自分で出来る子なんて言う人ほどロクな人じゃない気がするんだけど?)
〈...君は...ロクな人なの?...〉
「なんで心の声が分かったしっ!?」
〈...ルナは出来る子だから...ユウの事はなんでも知っている...〉
「なんで名乗ってもない僕の名前まで知ってんのッ!?」
僕のイメージ内のルナさんは現在進行形のストーカーだと怯えつつも、
僕は言われた方向へと歩きだした
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