第596話 各パーツ説明
さて、ここでピクトレーサーのマシンの各パーツの説明をしよう。
シャーシ:マシンの下部であり土台だ。後述するバッテリーやモーター、ブレーキ、シャフト、各種ウェポンなどを搭載する部位。ピクトレーサーでは最初、いくつかの中から選べる仕様となっているが、ゲームを攻略していくうちに、
カウル:マシン上部を覆う部位で、主に風を受け流す為のもの。速度を求める場合、このカウルの形状にこだわる傾向にある。
ボディ:こちらもマシン上部に設置する部位だが、カウルとは違いウェポンを搭載したものをこう呼称する。複数のマシンでレースを行う場合、前方をカウルに、後方をボディにする傾向がある。
バッテリー:ピクトレーサーのマシンは基本的にバッテリーのエネルギーを消費して動く。これはマシンを動かすモーターも、各種ウェポンを稼働させる場合も同じである。バッテリーのエネルギー量は全マシンで一定である為、ウェポンに消費し過ぎたり、速度を追い求めてスピードを出し過ぎたりした場合、途中でバッテリーが切れて、走行不能になるので、バッテリー残量を考えてレース展開をしていく事が必要である。
モーター:ピクトレーサーのマシンはモーターで動く。速さを追い求めれば、バッテリーの減りが速くなるし、カーブではブレーキ加減によってもモーターに負担が掛かるので、モーターがオーバーヒートして速度が遅くなるのを避ける必要も出てくる。ちなみに、スマホ画面の左下にはマシンの操縦バーがあり、バー中心にある丸を上下させるとアクセル、ブレーキ。バー自体を左右に動かす事で、マシンを左右に動かせる。バーの上げ具合では、ゆっくり動いたり、急発進したりする。
ブレーキ:ピクトレーサーのマシンには、バッテリーとモーターを接続する形でブレーキが存在し、スマホ画面の左下にある操縦バーを引くと、その引き具合によって、軽くブレーキが掛かったり、急停車したりする。
ギア:モーターとシャフトを連結させる部品。速さを求めるなら、ギア比の違うギアを連結させて速度を上げるのが定番。ただしギアを増やし過ぎると、ギアが噛み合わなくなったり、最悪壊れて動かなくなるので、一か八かを考えない限り、ギアを増やし過ぎない事が推奨されている。
シャフト:ホイールとホイールを繋ぐ長い角棒部品で、ギアと連結する事で回転し、これによりホイール、タイヤが回転してマシンを前進させる。
ホイール:いわゆる車輪の事。ピクトレーサーではオフロードコースやオンロードコースなど、様々なコースがあるので、それに合わせてホイールの大きさを交換するのは当たり前。小さい程加速に優れ、また、車高が低くなるので、カーブなどでも安定して走行が可能。対して大きなホイールは最高速度が速くなる反面、カーブでコースを大きく外れる危険がある。
タイヤ:路面や地面に接地し、実際にマシンを走行させる部品。綺麗に整地されたオンロードで速さを求める場合、細い溝なしのタイヤにホイールを使うのが定番だが、当然細いと壊れ易いので、結局はある程度の細さに落ち着く。逆にウェポン増々のマシンを扱う場合、ウェポンの重量を考えて、太い安定したタイヤが主流である。
ウェポン:ピクトレーサーの独自色が出ているのが、ウェポンを搭載出来る仕様だろう。ウェポンには様々な種類があるうえ、工場で独自に開発する事も可能である。ウェポンはボディに搭載するのが一般的で、バッテリーからのエネルギー供給により、マシンガンや大砲をぶっ放したり、レーザーカッターで敵機を斬り刻んだり、その他様々な武装で攻撃を可能とする。また後方に向かってジェットエンジンを搭載する事で、マシンの速度を上げるなども可能である。画面右下のウェポンコンソールで使用や切り替えなど操作可能。
他にもマシンの各部に様々な仕掛けをする事で、敵機を出し抜く事や、自機の性能をコースにアジャストさせたりする事が可能なのが、このピクトレーサーの面白いところだ。
『砂漠コースなので、砂に埋もれて動けなくならないように、大型のホイールに溝ありのタイヤで』
俺の念話に皆が頷く。砂漠コースと言っても、完全な砂地と言う訳ではなく、荒野と言った方が正しいのがこの砂漠コースだ。岩石砂漠を思い浮かべると想像し易いだろう。コース自体は硬いのだが、一歩コースを外れれば、砂地にタイヤが埋もれてしまう。
『作戦Bでいくんですよね?』
不安そうなダイザーロくんに頷き返す。
『ああ。このコースは広大で障害物が少ないからね。障害物をウェポンで破壊してコースを塞き止めて、カヌスが二周目のコースを上手く走行出来なくする作戦Aは使えない。なので、俺たちの中では速さに勝る、ダイザーロくんとリットーさんの二人にカヌスを追走して貰って、残る俺たち……、俺とバヨネッタさんと、武田さん、デムレイさん、ミカリー卿の五人で、このコースに障害物を作り出し、少しでもカヌスの妨害をする。その為のウェポンも作ってある。成功させよう』
皆が頷き、即座に自身のマシンのチューニングを始めた。ピクトレーサーの勝敗は、このチューニング時間で八割決まると言われている程に大事な時間だ。どれだけマシンをコースにアジャスト出来るか、それはフォーミュラカーと4WDでどれだけ設計理念が違うか。と言う簡単な問題だ。
一分三十秒後、闘技場の舞台上空の大型ビジョンには、八台の様々なマシンがレース開始を待ち構えていた。順序不同で二列に並び、ポールポジションは何と俺。その右後ろにダイザーロくんがいて、これはついている。カヌスは俺から二つ後ろの、前から五番目のポジションだ。ラッキーではあるが、油断は出来ない。マシンの違いから、俺なんてすぐに抜かされるだろうからね。
このレースに臨むマシンの形は、大まかに三つに分けられている。
まずカヌスのマシン。見た目はオーソドックスな4WDで、どんな悪路であっても踏破出来る仕様に仕上げたようだ。見た感じウェポンの類は一切排除されているので、スピードで俺たちをぶっちぎるつもりなのだろう。
次にダイザーロくんとリットーさんのマシン。これも4WDを基本としているが、カヌスのマシンが上部をカウルのみで覆っているのに対して、こちらは後部がボディになっている。どのようなウェポンを搭載しているかは、ボディの内部に隠されているので分からない仕様だ。
最後に俺たち残る五人のマシン。形としてはほぼ長方形で、レースカーと言うよりバンと言う方が正しい形だ。カウルはなく、全面ボディ。消防車かな?
「まともな勝負は放棄か。何をしてくるのかは……、楽しみにしておこう」
俺たちのマシンを見ても、カヌスの笑みは変わらない。まあ、自分が勝つと思っているのだろう。そこに付け入る隙がある。初戦は勝って、余裕を持って二戦目に行きたいところだ。
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