第411話 一本化
俺を包んでいた光が納まった。
「プレイヤースキル『有頂天』を獲得されました」
獲得されました。と言われてもな。何も修行的な何かをしていないのだが、これで良いのだろうか?
「他に何か購入されますか? それともお帰りになられますか?」
おっと、そんな事に思考を割いてはいられない。ここにいられる時間は有限だ。手に入るスキルなどがあるなら手に入れておこう。残りは十万命秒と言ったところか。
「何があるかなあ……」
と俺は購入画面を観て絶句してしまった。何故なら、
「安いね」
そこに並べられているスキルなどは、ほとんどが1000命秒、2000命秒くらいだったからだ。なんなら安くて100命秒、高いものでも10000命秒くらいだ。これから考えると、五十万命秒の有頂天がどれだけ高額だったのかが分かる。それだけ有益なプレイヤースキルなら良いのだけど。
「へえ、レベルアップなんかも出来るのか」
動揺を
「う〜ん、あ! そうだ。個人的に欲しいスキルがあったんだよねえ」
と画面をスクロールするが見付けられない。
「名前をおっしゃって頂ければ、こちらから提示出来ますが?」
「そうなんですか? 『空間操作』なんですけど」
「こちらですね」
と女神様は、直ぐ様画面に俺が欲したスキルを提示してくれた。
「高え……」
なんでこれだけ100000命秒もするんだよ! 桁が違うよ! え? これと同程度であろう『時間操作』、俺ジョンポチ帝に土下座しただけで獲得したんですけど? まあ、でもレアスキルである事を考えれば、そのくらいするか。
「そちらのスキルでしたら、ハルアキ様が所持されている『時間操作』と融合させる事で、半額での購入が可能です」
「え? そうなんですか? じゃあ……」
それでお願いします。と言う前に、『時間操作』とだけなのか? との考えが頭をもたげた。
「融合させられるのって、『時間操作』だけですか?」
「いいえ。『超空間転移』、『空間庫』、『記録』、ギフト『瞬間予知』も融合させる事が可能です」
転移門だけでなく、ギフトの『時間予知』に『記録』も合体させられるのか。言われてみれば『記録』も時間系のスキルかも。
「その場合、『超空間転移』とか『記録』とかってどうなるんですか?」
「どのスキル、ギフトも問題なく使えますし、融合させる事で、それぞれでは不可能だった機能拡張もなされます」
「機能拡張?」
「はい。『空間庫』では容量拡張。『超空間転移』では転移ゲート……ハルアキ様がおっしゃられる転移門の大きさを変える事が可能となったり、また『記録』では『瞬間予知』と合わさり、過去記録の閲覧だけでなく、未来記録の閲覧も可能となるなど、様々な機能が拡張されます」
おお! それは凄い! 未来記録の閲覧って事は未来視だろ? 強いな。そして転移門が拡張出来るのが地味に嬉しい。これまで人ひとり通れる程度で、モヤッとしていたんだよねえ。通らない大きさのものは『空間庫』に収納して移動していたけど、その必要もなくなるのか。
「じゃあ、それでお願い出来ますか?」
「60000命秒となりますが、よろしいですか?」
あ、値段が高くなるのね。それはそうか。
「お願いします」
「『空間操作』、『時間操作』、『超空間転移』、『空間庫』、『記録』、『瞬間予知』を融合させます」
女神がそう宣言すると、また俺の身体が発光する。眩い光に身体が包まれ、数秒でその光は納まった。
「ギフト『超時空操作』を獲得されました」
俺何もしてないんだよなあ。どうなったのか確かめたいところだけど、この空間ではスキルやギフトが使えないようだ。残念。
「他に何か購入されますか? それともお帰りになられますか?」
これで残りは四万命秒。どうするか。う〜ん、他のスキルやギフトも融合させられるのかなあ。俺が今持っているのは、ギフトが『清塩』と『英雄運』。スキルが『聖結界』に『ドブさらい』、『代償』、『逆転(呪)』か。
「『逆転(呪)』って外せないですかね?」
「申し訳ありません。当ショップでは、購入しか受け付けておりません。スキルを外される場合、外す為のスキルかギフトを購入してください」
それは残念。まあ、これから高レベルの魔王たちと戦うんだから、『逆転(呪)』を持っているのは、悪い手ではないんだよねえ。
となると、俺の手持ちで融合出来そうなのは、
「『清塩』と『聖結界』と『ドブさらい』って融合出来ます?」
「問題ありません。30000命秒ですが融合させますか?」
「お願いします」
俺が頼むなり、俺の身体が光に包まれ、
「ギフト『清浄星』を獲得されました」
と女神から伝えられた。『清浄星』ねえ。どんなギフトなのやら。『清浄』と言う言葉、『聖なる』と言う意味もあるが、極小単位としても使われる言葉だ。つまり、『聖なる星』とも『極小の星』とも捉えられるのだ。まあ、ここではギフトの詮索が出来ないので、蘇ってからにしよう。
「他に何か購入されますか? それともお帰りになられますか?」
さて、残るは一万命秒。どう使うかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます