【第二話】模擬戦①
そうして、
恭司とユウカの、奇妙な二人暮らしが始まった。
基本的に恭司は部屋から出ることがほとんど無く、その世話をユウカが焼くといった形で日々を過ごした。
ユウカは意外と甲斐甲斐しく、ご飯を作っては持ってきて、トイレの時は肩を貸してくれた。
そのどちらでも無いときは恭司のリハビリにユウカが付き添う形となり、二人は常に一緒だった。
性格はあまり似ていないが、結局波長は合ったのだ。
会話の呼吸も等しく、笑い所まで同じだった。
なんだかんだで、根本的な所はもしかしたら一緒なのかもしれない。
そして、
その間に恭司の体は見る見るうちに回復していき、その過程で言葉や文字も習った。
リハビリが終えた後に毎回勉強の時間も取っていたのだ。
体だけでなく頭まで使わなくてはならないとなれば本来ならとてもしんどい毎日だったのかもしれないが、恭司の物覚えは凄まじく、2日も経った頃にはある程度の言葉や概念は完全にマスターするに至っていた。
いや、物覚えが良いというよりは、単に思い出していたというだけのことなのかもしれない。
最初から新しく知識を入れるのではなく、元々知っていた知識を掘り起こす作業だったために、これほど早く上達できたのかもしれなかった。
そして、
それから数日もした頃には、恭司の体は既に9割方完治を遂げ、言葉や文字も万全の状態となり、一個人としてはほぼ完全に復活できる状態になった。
さすがに体の方はまだ少し違和感が残るものの、日常生活を不自由なく送る程度には回復を遂げている。
家の中を出歩くくらいならもう何の問題もないくらいだ。
数日という時間をかけ、恭司の体はようやく、自由に動けるに至った。
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