外れたネジ
環流 虹向
第1話
これでよしと。
ブラジルのツアーを予約し終わり、ひと段落。
改めて旅行本を見て楽しみを募らせる。
何度か海外旅行をはしたことはあるが、
ブラジルは初めて行くのでドキドキと楽しみでいっぱいになっていた。
数週間後には出発なので、少しずつ準備をして
カバンの中身は旅の準備万全になっていた。
そして今日空港に向かう。
ツアーの案内人の人と顔合わせして、
チケットやしおりをもらい案内された椅子に座ろうとすると、
学生時代絶交したアカネがいた。
気分が最悪になる。
私はとりあえずアカネが見えないように座り、
キャンセルしようか迷う。
でも今日をどれだけ楽しみ何日過ごしてきたか…と思うとやっぱり行きたいが勝ったのでキャンセルしないことにした。
まあ、無視していればなんの問題はないだろう。
あっちも私に話しかけることなんてないだろうし。
ツアー客でまとまり飛行機に乗り込み、乗り継ぎしながら1日かけてブラジルに向かう。
その中、ふと自分みんなより身軽だなと思ってしょうがなかった。
でもなぜかは分からなかった。
そして、ブラジルの空港につき、みんな荷物を
ピックアップしている中気づく。
私…、キャリーバック持ってきてない。
一瞬脳内がホワイトアウトしかける。
どうしよう…。あんな準備万端にしてきたのに…。
「すみません、ここら辺で服を服売ってる場所ありますか?」
と案内人に聞くと、
なぜかアカネが私を罵倒し始めた。
「マジで、最悪なんけど。お前の顔も見たくないのになに人に迷惑かけてるの?」
「はぁ?テメェにいつ迷惑かけたんだよ。」
だだっ広い空港で2人の罵倒合戦の声が反響する。
自分たちでは怒りが制御出来ないくらいに頭に血が上っていた。
「まあまあ。2人とも落ち着いて。」
と周りのツアー客が止めてくれ、喧嘩を納めてくれた。
そのままバスに乗り、ホテルに向かう。
[トントン]
と肩を叩かれる。
後ろの席にいる男の人だ。
「はい…?」
「あの俺も服を買おうと思ってたんです。あとで一緒に行きませんか?」
「え…はい!」
神様かと思った。
気分がだだ落ちしていた自分を拾い上げてくれる。
ホテルつき、一旦部屋に戻りのちにロビーで待ち合わせることにした。
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