すれ違いプロム

環流 虹向

第1話

「ごめん、別れよう。」


「じゃあ、最後にわがまま一つとっておいてもいい?」


「分かった。」



あれから一年近くたち学生生活を終えようとしとしている。


私たちの学校は卒業式前お祝いパーティ的なノリで毎年プロムが開かれている。


シオリ「ミキは相手誰にするの?」


ミキ「私は行かなくていいかな。」


シオリ「え!ダメだよ。最後まで楽しもうよ!」


ミキ「でも相手いないから、出れないよ。」


シオリ「元カレ呼ぼうよ!一個、わがままとっておいたんでしょ?この日のために使わなかったらいつ使うの?」


ミキ「でも向こうは相手いるでしょ?」


シオリ「いや?今フリーらしいよ。とりあえず送って断られたら別で考えとくわ。」


とおもむろに私のポケットからケータイを取り出し、元カレに誘いのメールを送ってしまった。


シオリ「よーし!ドレス選びに行こう!」


プロム3日前でOKされるわけがない。

でもプロムは出たかった。それを察してくれたシオリに感謝しよう。


ドレス、美容院、マッサージ、女度を短時間で上げてくれる場所を予約した。


シオリ「元カレから返信来た?」


ミキ「ううん、まだ。」


シオリ「まあ明日には来るでしょ。」


しかし当日になっても連絡は来なかった。


シオリに行けないと連絡し、予約をキャンセルしようと電話番号を打っているとシオリから電話が来た。


シオリ「私の男友達呼んでおいたから一緒に行こうね!準備できたら私の家に集合で!」


シオリに言いたいことだけ言われて電話を切られた。

断れないのでしぶしぶ予約したサロン行き、準備をする。


準備が終わりドレスを持ってシオリの家に行く。


シオリ「ミキ、めっちゃ可愛い!」


と玄関を開けるなり褒めてくれた。


ドレスを着て最終調整。


ミキ「ありがとう。」


シオリ「えぇ!なに?」


ミキ「プロム行きたかったから連れ出してくれてありがとう。」


シオリ「…ミキがいないプロムなんかつまらないもん。たくさん楽しもうね。」


ミキ「うん。」


お化粧直しをしているとインターフォンが鳴る。

丁度準備が終わったので二人で外に出ると赤いオープンカーが待っていた。


「おまたせー!」


「よろしくミキちゃん。」


ミキ「こちらこそよろしく。」


シオリ「出発ー!」


4人オープンカーに乗って学校へ向かう。


こんなこともうないんだろうなと、そのときを噛みしめながらわいわい楽しんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る