灰は灰に。
衛かもめ
第1話 運び屋と道連れ
「いやあぁぁ―――!!来ないで!」
「
「ただの
涼しい顔で返事をした蘭と呼ばれる少女は、何の柄もない紺色の上衣とズボンを着ており、左手にはランタンを提げ、右手には剣の柄を按じ、周りを見渡す。
腐肉の塊である行屍の動きは遅く、体も丈夫ではない。とはいえ、
「ぼうっとしてないで!!早くやっつけなさいよ!」
「うるさい、
蘭は剣を抜き、その勢いで自分を噛みついてくる行屍の首をはねた。
倒れた行屍の黒い血が足元に流れ着く前に、梅はシルクの
後ろの梅を
重たそうな木箱を背負っているのに、蘭は
しかし、どれだけ
行屍の輪がだんだん縮まり、蘭を追い込んでいく。
「きりがないな」
とつぶやいた蘭は黒い血にまみれた剣を止め、左手の提げランタンを挙げた。
ランタンの中で揺れる消えそうな灯火が突然に強くなり、ガラスの小窓を
ランタンの炎は行屍の群れへぼうぼうと燃え広がり、たちまち行屍たちの身が崩れ落ちて燃えカスと化した。
「灰は灰に、返すべし」
と蘭が爪の先でランタンの小窓を閉め、元通りになった灯火はまた、消えそうに揺れ始また。
「あんなるのは絶対いや」
「ならないよ。余計な心配だ」
二人は
道路の傍に
「ここまで来ればもう出ないですよね?」
岩壁の影の中からキラキラと輝く川のさざ波を眺めながら、梅は安心した。
「どうかな。一緒に旅をしてから何度も
「ならなくていい」
機嫌が損なわれた梅は足早に道路の角を曲がると、蘭に振り向いて手を高く振って呼びかける。
「見て!宿屋ですわ!今夜はゆっくり休めますよ」
「そうできたらいいけど」
そうはできなかった。
うきうきしていた梅とまったく期待しそうに見えなかった蘭は、
「おまえは運び屋だろう?しかもそんな荷物を背負って。悪いけどうちには
宿屋の主人は扉の前の階段に立ち尽くし、道を開ける気は
「なによ!客を選ぶつもりとてもいうのですか!」
「その態度はどういう意味?ああっ、頭に来ましたわ。蘭!あんたからも何か言ってやりなさいよ」
「そう。分かった」
と何の不満げもない返事をして、蘭は宿屋から離れて道路へ戻る。
「ちょっ!蘭!待ってってば!」
やむを得なく蘭に追いつき、梅はまだ気に食わない様子だった。
温度差がかなりある蘭はただ
「荷物が思ってる以上に嫌がられてますね。運び屋も大変です。」
と梅は済まなさそうに言いかけた。
「私から見ても嫌な荷物だ。仕方ない」
「嫌なら荷物捨てばいいのに」
「馬鹿言うな。荷物はおまえだ」
「人を荷物って、そんな言い方はないでしょ!」
蘭が
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