最愛の業火

朝日は眩しく 尊い


世界は儚く 広い


未来は遠く 輝かしい


だが過去、お前はどうだ


我が身を焼き焦がし


その業をけして忘れさせない


君が忘れられない


君の輝きが 欲しかった未来が


今の私を苦しめる


君は忘れただろうか


罪人にすら見えぬ私のことを


君は知っていただろうか


私がどれだけ君を愛していたかを


時は無情にも進んだが


私は一時も 君を忘れたことはない


君の隣りにいたあの日を


私は今でも瞼の裏に見る


その焼き付いた風景が


胸を焦がす感情が


今も私を磔にし


裁きの炎で炙り続ける


嗚呼 まるで君は魔女だ


愚かな男を誑かし


人生を狂わせる魔女のようだ


それでも 愛している


その目も 髪も 姿も 心も 全てを


我が身を焼く炎でさえ


君のものだと愛してしまう


罪には罰をと言うのなら


我が恋が罪だと言うのなら


我が花をどうか攫って


切って 挿して 飾りにして


終身刑にして欲しい


それが出来ぬのならば


この花が気に召さないと言うならば


除草剤でもなんでも撒いて


枯らして 燃やして 塵にして


私を殺してしまえ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る