半径3メートルの世界から

@marusunset

第1話

今日とか、昨日とか、明日とか、僕にはよくわからないんだ。ただひだまりが暖かいとか、ごはんが美味しいとか、たくさん走って気持ちいいとか。それだけが確かなんだ。でもそれもすぐに忘れてしまう。

 あれ?この匂いは水が落ちてくる匂い。僕は水がきらいなんだ。顔が濡れるのが一番嫌い。

 シャラシャラ、、、シャラシャラ、、、この音は僕がここにいる音。パトロールしている音。友達を待っている時の音。お仕事お見送りする音。シャラシャラ、、、なんでこんな音がするかわからないけど、この音が僕がここにいるっていうことなんだろうな。ちいさい時からこの音と一緒だったから、なんだか僕だけの場所みたいで嬉しい。

 あ、僕が好きな人たちが帰ってきた。嬉しくってはしゃいじゃう。でも怒られる時もあるからあんまり喜んじゃダメってことなのかな?難しい。だって嬉しい時は嬉しいんだもん。

 太陽が傾いて、すっかり僕の場所が暗くなる頃になると、旅行に連れてってもらえる。ちいさい時からこの人に面倒見てもらってるんだけど、この人は、一体誰なんだろう?まあ、誰でもいいや。今日の旅行のお土産はお芋だよ。僕を見る人はみんな笑うけど、なんでなんだろうな。ただ暖かくてくすぐったいものが伝わってくる。ちょっと苦手なんだよな。そんなことよりお腹すいたな。なんかくれないかな。。。今日もたくさん遊んだ。吐く息が白くなって、鼻から吸い込む空気がツーンと冷たくても大丈夫。僕には十分すぎるくらいのフクがあるから。あとね、このお家の中に入ってると暖かいんだあ。。。なんでかなあ。僕はここが大好き。

 眠たくなってきた。でも大きいものが行ったり来たり、、行ったり来たり、、、大きな音に邪魔されてなかなかゆっくり寝れないんだあ。知らない人が来た時なんかは怖くて大きな声出しちゃう。怖くて泣いてるだけなんだけど、すごく褒められたりする。なんでだろう?よくわからない人たち!本当は怖いからおやつとか欲しいんだけどね!またあたたかくなってきた。ようし、少しお昼寝しようかな。いいよね?

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