第248話 秋の蝶 🌺
――逢はざればこころ離れて秋の蝶 三森鉄治
東側の窓から見える小さな庭に、濃いピンクの花ばなが咲き乱れています。
10年ほど前に苗木店で買って来た樹木(いまだに名前を知りません(笑))。
年々成長し、いまでは人の背丈より高くなり、百日紅によく似た縮れ加減の可憐な花が、春先から晩秋までの長い期間、ずっと咲きつづけて目を和ませてくれます。
4年前の夏、体調をくずして呼吸の仕方を忘れたとき、リクライニングにした安楽椅子に痩せた身体を預け、何時間でもその花を眺めているのが何よりの慰めでした。
*
オレンジ色に黒い斑模様がある秋の蝶が舞って来て、ひと房の花蜜を熱心に吸い、ひたすら吸い尽すと、ひらひら優雅な曲線を描きながら別の花房に移ってゆきます。
体調を取りもどした現在、穏やかな秋の午後がゆっくりと通り過ぎて行きます。
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