第72話 ある日 ☀
東と西に淡い水色の山並みを連ねる、広い平野のただ中にひとり立っています。
一面に黄色い絵の具を撒き散らしたように、タンポポがどこまでも広がる土手を真っ直ぐに貫く農業用水路が面白そうに奔り流れ、田んぼのかなたの住宅街には、合同庁舎、マンション、病院、レンタルビル、スポーツジムなどが聳えています。
🏢
街のざわめきはかすかにしか聞こえず、夏野菜を栽培するビニールハウスの前で、白に黒い模様の混じった猫が、しきりに地面に背中をこすりつけています。
とくべつなことがなにもない、平日の午前11時。
いま、どんな立場に置かれている人も、みんなが幸せでありますように。💞
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