No.17:プールへGO!


 その週末の日曜日、時刻は朝の9時。

 俺たちは学校の最寄り駅の前に集合していた。


 行くのであれば早い方がいいと全員のスケジュールを調整した結果、最初の日曜日に行くことになった。


 集合した美少女3トップの存在感がハンパなかった。


 竜泉寺はグリーン系チェックのブラウスにサブリナパンツ。

 山野はアメコミのキャラクターTシャツにホットパンツ。

 桜庭は淡いピンク系の膝上ワンピースで髪型はポニーテールだ。


 休日で人通りの少ない駅前で、その存在感は異彩を放っていた。


 よく見ると桜庭はうっすらとメイクをしていて、本当に芸能人みたいだ。

 これから撮影です、と言われても違和感がない。


 俺はといえば、普通のデザインTシャツにダメージジーンズという超適当な格好だ。

 ただ髪の毛だけは休日モードで、前髪を上げてワックスで固めている。


「大山くん、今日は髪の毛上げてるんだね。か、かっこいいよ……」

 まだ残暑が厳しいからか、桜庭の顔が少し赤い。


「そりゃどうも」

 俺は社交辞令を軽く流す。


「そっけないなー、浩介は」

 そういう慎吾は、カットソーにチノパンという何の変哲もないスタイルなのに、その爽やかさが増長されるというのはどういうことだ?


「でもほんま暑いわぁー」

「だからプールに行くんだよ!」

 竜泉寺も山野も、楽しみで仕方ないようだ。


 ………………………………………………………………


 電車に揺られること45分、そこから徒歩で10分。

 田舎の何もない田園風景に、ウォーターパラダイスは忽然こつぜんと現れた。


「デカいな……」

 それが俺の第一声。


 総敷地面積が東京ドームとほぼ同じらしい。

 郊外型ショッピングモールをさらに高く大きくしたような建物で、上の方はガラス張りになっている。

 日差しが入って空調も効いているのであれば、きっと冬でも快適だろう。


 受付でチケットを渡し中へ入り、男女それぞれ更衣室へ向かう。

 俺と慎吾はさっさと着替え、女性更衣室の出口の所で待ち構える。

 そうしなければ、あっという間にナンパ男たちの行列ができてしまうだろう。


 予想はしていたが、女性の着替えというのは思いの外時間がかかるようだ。

 30分ほどしてから、ようやく3人が姿を現した。


 その存在感と破壊力は、今朝の駅前での私服とは比較にならなかった。


 竜泉寺は紺色のビキニ。

 控えめな胸元だがウエストも足も細く、なで肩からのラインはちょっとアダルトな雰囲気を醸し出している。

 やさしいお姉さんは健在だ。


 山野は白のワンピース。

 脇腹の部分と背中がごっそりえぐれているタイプで、上と下がおへその部分左右10センチくらいでしか繋がっていない。

 それでもって例の暴力的な胸である。

 小柄で童顔であるがゆえに、背徳的でとにかくエロいのだ。


 そして二人の後ろにもじもじと隠れていた桜庭だったが……これは……反則だ。


 白を基調に花柄をあしらったビキニで、清楚で色白の桜庭のイメージにぴったりだ。

 ただ特筆するべき点はそこではない。

 胸のボリュームが凄いことになっているのだ。


 山野ほどではないにせよ、くびれたウエストや丸みを帯びたヒップラインからすると、そのバストラインは明らかにアンバランスだ。

 さらにビキニの布の面積がかなり小さい。

 胸の谷間がくっきりと出来ていて、激しく動けば今にもこぼれてしまいそうだ。


 俺は固まって声を失っていると、山野が口角を上げた。


「あー、そうなっちゃうよねー。雪奈って着やせするタイプだから。でも実は雪奈、隠れ巨乳なんだよねー」


「もう、ひな!」


 耳からプシューと煙が出そうな勢いで顔を真っ赤にした桜庭は、手に持っていたパーカーで、胸を押さえた。

 さすがに俺もそれ以上は直視できなかった。


 それからぞろぞろと、俺たちはプールの方に向かって移動した。


「もうー、後でいいから桜庭さんにちゃんと感想言ってあげなきゃダメだよ」

 隣でそう囁くイケメンがうっとおしい。


 俺たちのグループはとにかく目立っていた。

 男女問わず、ほぼ全ての客から熱い視線を受けた。

 無理もない、美少女3トップの水着姿だ。

 撮影会でも開けば、余裕でお金が取れる。


 俺たちは全員あまり泳ぎが得意ではなかったので、足の届くプールで遊ぶことにした。

 慎吾がボールを持ってきていたので、そのボールを投げたりしてしばらく遊んでいた。

 さすがイケメンは、準備がいい。

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