第4話 突然の恐怖の始まり

俺はそのまままっすぐ家に帰ろうとした。そのときの俺の脳内は、「なぜ猫が走り去ったのか?」ということばかり考えていた。もしかして俺は猫に逃げられてショックだったのだろうか?俺はすごいペットが好きなタイプではないのだが……。


そして家まで後少しの所まで来た……次の瞬間!

バチッ!


「うぐっ!!」


やや強い痛みが、頭に響いた。すごく痛いわけではないのだが、不思議な感覚だ。俺は別に頭に何かをぶつけたわけでも、元から頭や脳に関する、持病を持っているわけではない。なぜだろうか?


そう考えて間もなく……


「ようこそ!スリープログレムダイへ!」


俺は突然の聞き慣れない声に驚いた。そしてとっさに辺りを見渡す。……が、周りに人はいなかった。じゃあ一体誰が声をかけたんだ?


「今の声は……?」


「僕だよ!」


「僕は今、君の脳内に語りかけているんだ!」


俺は混乱した。脳内に直接語りかける……?そんなこと並大抵の人間ができることなのか?

……いや違う!この声は人間じゃない! 機械音声だった。


「僕の名前はエルラ!今日から君のことを監視することになったんだ♪」


「何を急にバカなことを言っている!」


俺も脳内に語り返した。


「じゃあ突然だけど、これから君が行うことになる、ゲームのルールを説明するよ」


「おい!待て!」


しかしエルラはその呼びかけを無視して、話を続ける。


「今から君には、1日3回クイズを行ってもらうよ」


「クイズの内容は、基本的にはランダムだけど、君の有利な問題が多く出るよ♪」


「そしてクイズに3問連続間違えると……」


「……間違えると?」


「君は死ぬ」


「はぁぁぁぁ!?」


俺は突然の”死”という言葉に動揺を隠せない。人間に言われるならまだしも、姿が見えない機械音声に言われるのはとても怖い。


「あっ!安心して♪実行するのは明日からだから!」


「安心できるか!明日から地獄じゃねぇーか!」


俺は今死にたいとは思っていないし、ここ数年1度もそう思ったことはない。


「以上でルール説明を終わるけど、質問ある?」


エルラがそう問いかける。


「じゃあ……そのゲームは一体いつまで続くんだ?」


「君が死ぬか、エルラの正体を見つけて、このゲームを行う理由を知ることができたら、終わりにしてあげるよ♪」


エルラはとてもそう言った。


「正体とかはどうやって探せばいいんだ?」


「それは教えられないよ。僕はこのゲームを楽しみたいからね♪」


「……ふざけやがって」


わかってはいたが、そう簡単にゲームを終わらせることはできないようだ。


「じゃあ次の質問だ。さっきクイズに3問連続間違えたら死ぬと言ってたが、具体的にどういう感じに死ぬんだ?そして死ぬ光景は、周囲の人にも見られるのか?」


「うーんとね。クイズに間違えると、君の体は徐々に弱っていって、最終的に死ぬ感じだね。そして周囲の人にはその光景を見られるよ。うふふっ……」


外部の損傷なしに死ぬだと?一体どういうことだ?


「おっと!そろそろ僕は次の仕事があるから、これで失礼するね♪」


「待て!まだ聞きたいことが!」


エルラの声が、聞こえなくなってしまった。


そして俺は急に、”死”ということに不安になってきた。

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