第10話 バワーが続かない?!

 今回は、ことわざじゃないけど、とある「誤字」から生まれた言葉。ワープロからパソコンに至る文書作成ツールの発達のおかげで、これまでは「活字」になることが一つの名誉のようなものだったのが、今やだれでも「活字」ぐらい打てるようになったわけですな。そのおかげで、今まで考えもつかなかったような「誤植」というか、「誤字」が出るようになったという次第。

 そんなご時勢の中、どこからともなく生まれてきた、ひとつの単語をベースに、お話を。


 あの馬鹿、手段を選ばずとことんやるとか何とかのたまっているが、バワーは続かないな。


 こんな感じのメールが届いたことがありますねん。

 一つだけ、カタカナの単語がありますね。

 今回の問題は、そこ。


 普通に言えば、「パワー」ってことになるでしょう。だけど、そのメール(私信なのでここで全文を出したり、まして発信者や話の対象となっている人物名を出すことは控えます)に打ち込まれていたのは、ナント、

 バワー

だったのです。


 確かにこれは誤植だと言ってしまえばそれまででしょう。

 とはいえ、これが「バワー」となっているがゆえに、その話の対象となっている人物の特徴を妙によく捉えられた形になってしまっているような気がしましてね。

 普通に「パワーが続かない」だったら、要は途中で息切れするという趣旨なのだろうと、そこは容易に想像も理解もできるところでしょう。しかし、

 バワーが続かない

という表現が出た段階で、なんか、その相手の謎の力具合が妙にリアリティをもってというか、怪しさがプンプンと匂って来やしませんか、ってことなのですよ。


 もっともこれは、その対象者の姿や言動、それを書いてこられた人がどんな人かというのがわかっているからそう言えるのであって、わからん人間にはわからんと言われてみれば、そうかもしれない。

 でもさ、ひとつ、考えてみてよ。

 自分の周りの怪しいというか変な奴、言うなら、気が・・・みたいな人物(とは名ばかりのクズってことでね)が危害を加えるような接触をしてきた時。

 そんな状況を考えて、その言葉、入れてみてよ。


 なんか、妙に実感を持って迫ってくる感じ、しません?

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