特別、目を引くような文章は無かった。なのに、この小説は俺の心を掴んで離さなかった。
登場人物たちの心情を述べた、一つ一つの情景の一幕。
まるでドラマのワンシーンを見ているような気分になる。
でも、最もこの小説を読んでいる時の気分を表すならば、この表現が適切だろうか。
朝読の時間、偶然手に取った文庫本を開いた時、なぜか夢中になって最後まで読んでしまった。
そんな、何気ない時間を過ごす時の、そういう情景がはっきりと目に浮かんだ。
レビューと言えるのかどうか、俺には分からない。レビューですらないのかもしれない。
でも、一言だけでも添えるならば。
この小説は、確かに面白かったということだ。