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いつか素敵な王子様に会える、なんて幼い頃の夢はとうに諦めたけど。でもやっぱりいつみても、テレビの中のプリンセスは幸せそうで。
実際、出会いなんてないし。このご時世、外ふらつくのも気が引ける。スマホを開けば、婚活だの結婚だの。同期の結婚報告の投稿は、まさに花のようだった。きっと私はこうなれない。別に1人でも生きていける。
大あくびして、いつものコンビニに入ると、真っ先に食品コーナーへ向かった。安定の残業に彼氏いない歴=年齢の私は、きっとこの売れ残った弁当達と同じ立場なんでしょうね。
適当に弁当を取り、お酒を取り。今夜も1人で晩酌とか慣れたもんだって。ため息をつきながらレジへ向かう。あれ、いつものあの子いないんだ。背が高くて、前髪が少し目にかかってる声の小さいあの子。
お会計を済ませ、外に出る。
「あの、」
聞き覚えのある声に思わず振り返る。背の高さ、前髪、いつもより少し大きな声。
「もし、良かったら、その、俺と飲みませんか。」
片手に持ったビニール袋には2缶のお酒が入っている。王子様は、缶ビールなんて飲まないはずなんだけどな。頬を赤らめている彼が、可愛くてそんな理想は吹っ飛んだ。
プリンセスにはなれないけどさ。売れ残りでも、運命くらい信じてみてもいいかな。
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