第50話 Bチームの発足。
1週間の営業が昨日で終わっていたので、今日は店休日にしていた。
そこで、今日はみんなに店に集まって貰い、全員の親睦会をすることにしたのだった。
ここには、ホルン店のシルビア一家と、イネス、ミリスも含め、総勢30名とクイン1匹が店内に集まっていた。
新は、中央に立ち。
「えー、王都に拠点を移して、イセ・スイーツも開店出来て、1週間が経ちました!そして新しい仲間も入って来て、まだ喋った事もない人も多いので今日は、親睦会を行います。皆楽しく飲み食いしてほしい。」
そう言って、親睦会は始まった。
食事はみんなでオードブルを作って、酒もジュースも地球から持って来た物だ。
俺も、1人ずつ会話をして行くことにした。
まずは、ちょっと気になっている人魚族のクレンシアの席に座って会話をした。
「クレンシア、もう陸には慣れたかい?」
「はい、ずっと魔力を使っていないといけないので、少し疲れますが魔力の鍛錬にもなりますので、これはこれで良いと思います」
「そっか」
「それから、アラタさん、私、冒険者になりたいと思っています」
「え?大丈夫?」
「はい、人魚族は魔力には自信あるのと、私には生命神の加護もありますので、回復魔法も使えますし」
「え?そうなの?あれって人間だけに覚醒するものじゃないの?」
「人魚族にはマジックボックスと一緒で、覚醒する人も多いんですよ?」
「へ~‥」
後から、レベッカ、シフルから聞いたが、別に人間だけに生命神の加護が覚醒するわけではないらしい、エルフ、ドワーフにもその加護持ちはいるようだった。
次は、昼間から酒を飲んでいる、ドワーフ達とフェルナンドが仲良く飲んでいる場所へ座った。
「oh!アラタ!イグと話をしていたんだが、あのスナるのに使う50口径の弾丸なんだが、あれに細工してみることにした。火薬はこの世界でも俺が調合出来るから、あとはイグのドワーフスキルで改造すりゃ、無敵になるぜ!」
「うむ。儂達にかかれば、その銃器と言うやつもパワーアップさせてみるぞい。わはっは。」
「そ‥そうなんだ‥へ~」
な‥なんか物騒な話を酒と一緒にしてるけど‥まあ、楽しそうだし良いか‥
次に、ミーナさん、シルビアさんの所に行った。
子供達は俺が持って来た、お菓子で美味しそうに遊びながら食べていた。
「あ、アラタさん」
「マスター、お久しぶりでしたね」
「ああ、二人とも、いつも店をちゃんと切り盛りしてくれてありがとう」
「いえいえ、マスター、こんな楽しい職場をこちらこそありがとうございます。奴隷の私達を使ってくれて感謝しきれません。今後も宜しくお願いします」
シルビアとジョランは新に頭を下げた。
「マスター私達も、奴隷なのに定休日まで貰って、更にお給料も高くて、私達を選んでくれたミーナさんにも感謝してます」
そう言って、俺に挨拶したのは、新人のレナータ、ダリア、イネス、ミリスだ。
この子達の経歴は聞いてはいない、何かの形で借金奴隷落ちしたのだろうが、ミーナさんが選んだわけだし、暫く話をしたが、いい子達だし、全く問題はないだろう。
「アラタさん、地球と言う所には、まだまだこんな美味しいお菓子などが沢山あるのですか?」
そうミーナさんは俺に聞いてきた。
「うん、俺の世界では、新しいスイーツが日々開発されていて、季節の食材を使った物や、食感が全く新しい物などが次々に開発されてますよ」
「今度、作り方とか教えて貰ってもいいですか?」
「え?いや‥俺は、簡単な物じゃないと作り方とかわからないよ‥」
「そうなのですか?」
「あ、じゃあ今度、地球から作り方の載った本買って来てあげるよ、一応、砂糖はこの世界にもあるんだから、上手くやれば俺が持って来る物じゃなくても作る事は出来るかもしれませんよ?」
「「お願いします!!」」
ミーナさんもシルビアさんも、それを聞いて大きな声でそう言った。
この二人、この世界で初めてのパティシエになるのかも知れないな‥
そして、俺は、昨日クランに加入したばかりの、ベンザさんの孫キーン達が集まっている席についた。
「やあ」
「マスター!こ‥これから、宜しくお願いします!」
そう言ったのは、ベンザの孫のキーンだ。
「うん、みんなは幾つになるんだい?」
そう聞くと、キーンは19、レベッカの後輩シフルは16、ネイ16、クラウスの妹カリンも16で、キリュウと言う虎獣人は17だと言った。
そして俺はあることに気付いた、キリュウと言う獣人の少年は、腰に大小の武器を二本携えていた。
「キリュウ君っていったっけ?その腰の武器は刀?もう一本は脇差?」
「え?はいマスター、これは拙者の故郷から伝わるカタナと言う武器ですが‥ワキザシまで、ご存じでしたか?」
拙者?‥
「故郷ってさ、日本?」
「ニホン?‥とは、何でしょうか?」
「いや‥その刀って俺の故郷にもあるんだけど‥」
「なんと!拙者の故郷と一緒なのですか!では、マスターはアカツキ国の出なのですか?」
「アカツキ国?」
「え?違うのですか?」
「それってどこにあるの?」
キリュウが言うには、アカツキ国とは、フェリオール王国の北西に位置する小さな国らしい、そして、そこの国は昔、英雄の祠から出て来た人達が作った国なのだと言う。
「へぇ‥祠から出て来たって、何百年か前のスタンピードの事?」
「如何にも!拙者の先祖は、昔ハイエルフが繋いだ入り口から出て来て魔物を討伐した英雄だと聞いておりまする」
「その英雄って、誰だったの?」
「その指揮を執ったご先祖様は、シマズトヨヒサと言う人物になります」
島津‥豊久‥?
それって、戦国時代の有名な武将じゃん‥
俺は、〇〇の野望ってゲームをよくやっていたから武将は多少はわかる。
薩摩の島津は強かった。有能な武将に恵まれてて俺もよくそこから初めていたものだ‥
たしか‥関ケ原で死んだとも落ち延びたとも言われていて、生死がはっきりしていない勇猛な武将だった。
約400年前のスタンピードの時この世界に来たって事か?
「キリュウ、今度、君の故郷に行ってみたいんだけど、その時は案内して貰ってもいいかな?」
「マスターの頼みなら、喜んでお受け致しまする」
そして暫くこの5人と会話したのだが、元々は7人でパーティを組んでいたらしいことが分かった。Eランクの頃からパーティを組み始め、仲良くDランクへあがった、即席パーティだったらしい。
でも、ある依頼で2人の仲間を亡くし、この5人も危ない目にあったようだ。
まあ、この魔物がいる世界、命を落とす冒険者なんて沢山いるので、珍しい話ではない。
俺は考えた。
ウチのクランでの、冒険者メンバーは、俺、瑞希、クラウス、マイティ、レベッカ、フェルナンド、カレン、マルク、クレンシア、そしてこの5人だ。
14人いる冒険者メンバーを2つに分けることにした。
まず、俺、瑞希、クラウス、マイティ、レベッカは今のままが良い。かと言って、フェルナンドさんとカレンさんは、どういう行動をとるか分からないから、俺の元に置いておきたい。
となると、マルク、クレンシア、キーン、シフル、ネイ、カリン、キリュウ少年少女のパーティが残ることになる。
タンクにキーン、剣士キリュウ、遊撃マルク、回復シフル、クレンシア、魔法ネイ、斥候カリンだ。クレンシアは、攻撃魔法も使えるようだし、歳も近い者同士だし、パーティとしてのバランスは良い。
俺達は‥役割としては、バラバラすぎるが‥規格外、地球人が4人もいるし、まあ、そこは大丈夫だろう‥多分。
クインもいるしね。
「マルク、クレンシア!ちょっとこっちに来てくれ」
二人をここに呼んだ。
「はい、アラタさんなんでしょうか?」
マルクとクレンシアがこちらに来てマルクがそう言った。
「うん、君達は同じDランクだ、そこで、ウチのクランのBチームとしてパーティを結成したい」
「え?Bチームですか?」
「うん、クレンシアも冒険者になるのなら、丁度いいと思う」
「はい、私は構いません」
「そして、マルクがリーダーだ」
「え!?僕がリーダーですか?」
「そうだ、何故なら、俺達と暫く同行して銃の使い方も心得ている、それに、弓術師としての技量も高いし、周りをよく見ることが出来る」
俺は、このチームのリーダーに、この中では一番年下だが、マルクを抜擢した。
それは、マルクは頭も良いし、弓術師なら周りも見やすい、何よりも俺達と暫く同行していて魔力の泉にも入っている、能力もこの子らの中なら上のはずだ。
「はい‥僕に務まりますでしょうか?」
「マルクなら大丈夫、そこで、マルクにこれを託そうと思う」
俺はマジックボックスから、この間ダンジョンで取得した、マジックバッグを取り出した。
「あ、それって、ダンジョンからドロップした、マジックボックスと同じ効果の袋ですね。」
「うん。これに銃を入れて持ち運びするといいよ」
「良いんですか?そんな高価な物‥」
「ああ、これがあれば、いろいろと持ち運びが楽だろう?」
ここに、ディファレント・アースのBチームが結成されたのだった。
マルク、クレンシアは、キーン達と握手して、同じ席に座った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます