第2話 250回目の……②
「秋ちゃん、秋ちゃーん、おーい」
……はっ! いかん、抱きついて我を忘れていた。
お姉ちゃんから離れて、お姉ちゃんの方を見ると顔が少し怒り顔になっていた……。
「……秋ちゃん、今何考えてたか言ってみてー?」
「ぷにぷにの身体をぺろぺろしたい、そしてヤりたいと思ってました」
「素直でよろしー、そして無理だからねー」
お姉ちゃんがふぅと一息吐き、私はその息を深呼吸して集めると、お姉ちゃんは言葉を続けた。
「……秋ちゃん。そのデート、今日しよっかー」
「今日?」
「今日ー、嫌ー?」
「嫌じゃないです!」
私は高まったテンションで考えなしに即答したことを後に後悔するのであった。
私たちはデートの準備をするために各自の部屋へ向かった。
そして、着替えようとクローゼットの引き戸に手をかけた瞬間、あることが私の脳裏によぎった。
デート服をどれにするか。
人生で初めてのデート、それも大好きなお姉ちゃんと。
しかし、ここでテンパる私ではない。
まだ初デートの服は決めていなかったが、お姉ちゃんとのデートを妄想していた時に、デートに着ていく服の候補をいくつか作っていたのだ。
それも、お姉ちゃんのハートを射抜くために用意した、天使なお姉ちゃんの横を歩くにふさわしい服を! これでお姉ちゃんは私にメロメロ、そして彼女になってエッチなことまで……勝ったぜ!
私は候補の中でも最もいいと思った服を取り出し、初めて制服を通した時のようにドキドキしながら着た。
そして、部屋から出ると丁度お姉ちゃんも準備を終え、部屋から出てきて廊下で鉢合わせた。
同じタイミングなんてもう運命ですよ、結婚してほしい。そして、ヤらせてほしい!
そんなことを思っていた私だが、お姉ちゃんを見たとき、全てが吹き飛んだ。
お姉ちゃんは白のトップスにネイビーのスカートと春に相応しい清楚系の服を着ており、まさに天使がそこにはいた……。
もう、好きです。
「あ、あのー、秋……ちゃん?」
お姉ちゃんが何か言っているが、今の私には何も聞こえない。全力で目の前にいるお姉ちゃんを記憶しているからだ。
そうだ、スマホで写真撮ろう。
私はバックからスマホを出し、お姉ちゃんの方にカメラを向けた。
「え? ええ? ええ⁉」
「お姉ちゃん! 可愛いよ! 付き合って!」
「ええー⁉ ごめんなさいーじゃなくてー!」
私の248回目の告白と同時にカシャカシャとスマホのカメラから鳴り響くシャッター音。
私は360度、残さず全て撮った。真下アングルを撮ろうとしたら流石に「だ、ダメー!」と怒られたが……。
「ふひ、ふひひひ……お姉ちゃん……ふへ」
お姉ちゃんの可愛い写真がいっぱい撮れた……。これはご飯のおかずだよ……3杯はいける!
「あの……秋ちゃんー」
「ふへへ……はっ! な、なに?」
私はスマホをマナーモードをにして、カバンの中にスマホを入れた。
通知音がなってデートを邪魔されたら嫌だからね!
「そ、その格好は……何ー?」
「ん? デートの服だよ?」
「それ……が?」
私の服は何かおかしいのかな? お姉ちゃんの横を歩くにふさわしい服で、ハート射抜くんための服だけど……?
「うん」
「……その服何ー?」
「サキュバス」
私はお姉ちゃんの質問に即答した。
サキュバス、日本語では夢魔、淫魔とも言う。サキュバスの詳しい説明は省くが、要するにエッチな格好をしている。黒ベースに、お腹や背中が丸見えの格好をしている。
こんな姿、中学の先生方に見られたらど叱られるよね!
「……なんでそうなったのー?」
「いや、私も初めの頃はおかしいと思ったよ……でも、デートにこの服を選んだ理由はちゃんとあるんだよ」
「そ、そうなのー?」
「うん、服を考えていた時に思いついたことは、『お姉ちゃんの隣で歩くのにふさわしい服はなにか』だったんだ」
「ほうほうー」
「そこで私はお姉ちゃんの事を考えたの。お姉ちゃんは可愛い、それはもう天使のように」
「そ、それは照れるよー」
天使って言葉に照れるお姉ちゃん。
……んもー! 照れてるお姉ちゃんも可愛い! 好き!
「それでね、その天使の横を歩くなら、私も天使か悪魔であるべきだと思うんだ」
「……んー?」
お姉ちゃんが照れ顔が止まり、その顔のまま眉を内に寄せていた。
「ただ、お姉ちゃんみたいに天使になるのは私には無理だから、悪魔になることにしたの。それで、相手を惚れさせるには、性交の悪魔ではないかと思いついたの! なので、天使とデートするならサキュバスしかないという結果に至ったのです!」
「なんでー⁉」
「説明したじゃん!」
「いや、聞いても理解できないよー!」
お姉ちゃんが小さな身体で珍しく叫んだ。
んー、何がいけなかったんだろう?
「とりあえずー、その服ではデートはできませんー!」
「え、ええ!?」
そ、そんな……三ヶ月も悩んで決めた勝負服が……。がっくし……。
「だから、着替えてきて……いや、私が着替えを決めるよー」
「……え? 着替えさせてくれるの⁉ そんなのもうエッチじゃん!」
私は全力で喜んだ。
だって、着替えを決めるってことは裸になる、つまりはそういうプレイでしょ!? やったー!
「エッチではないかなー⁉ 決めたら秋ちゃんの部屋から出て行きますよー」
そう言ってお姉ちゃんは私の部屋に入り、ロッカーの中やタンスの中を詮索した。
そして、他の勝負服候補であったSMの女王様風の服や魔法少女の服、ナース服、サキュバスの服よりも生地の面積がない際どい感じの服等はお姉ちゃんに封印された。ゴスロリ系やギャル系の服はなんとか封印されなかった。
うぅ……。お姉ちゃんがどんな趣味でも対応できるようにオンラインショップで買ったのに……。
ちなみに、お姉ちゃんは薄ベージュのトップスに薄い系統のピンクのスカートを選んだ。
着替える時に私の裸を見せようとしたら、お姉ちゃんは自分の部屋に閉じこもりました。
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