ss ヤンデレ
私、嘉神咲夜にとってインターネットとは、人生の教科書だ。
生まれたて同然の私にアドバイスをくれる。
私はその日例によって最近の流行や恋人が喜ぶことなどを調べていた。
今日見つけたキーワードは『ヤンデレ』前々から聞いたことはあったがどんなものなのか興味がわいたため、調査をする事にした。
step1 相手に発信機を取り付け、相手の行動パターンを把握する。
「・・・もう既に実施していますねこれ。というよりこれぐらい普通では?」
step2 思い人の部屋などに盗聴器、盗撮器などを設置して、生活リズムを管理する。
「・・・これも一応設置してあります。というより一緒に住んでいるので必要ない気もしますが。あるに越したことはないでしょう。」
咲夜は自分の行動に何ら疑問を感じていなかった。
愛する人を管理する事は彼女の中では当たり前のことなのだ。
他の情報を求めて画面をスワイプする。
step3 ○○してくれなきゃ、あなたを殺して私も死ぬ。そうすれば永遠に一緒だね。と、言う。
「これはやってみたことありませんね・・・早速試してみましょう。」
咲夜は他にも色々な事を調べ、結人の帰りを待つのであった。
*
作業開始から、3時間ほどが経過した。既に日は落ち、時計の針は午後9時を指していた。
咲夜の開発した結人探知魔法によるともうすぐ結人が帰ってくる。
咲夜は身支度を済ませると玄関で夫の帰りを待った。
しばらくして、結人の部屋専用の強力な二重の扉の認証をクリアする音が聞こえ、扉が開く。
「ただいま~咲夜。ってちょっと待ってどうしたの?その髪の色!今度は黒髪のロングになっているし「気にしないで下さい。」は、はい・・・」
「ところで結人さん、こんな時間までどこで何を?普段なら8時までには帰ってきてくださるのに今はもう9時ですよ?」
「ちょっと空との練習が長引いちゃって・・・」
「結人さんは私より空さんとの練習の方が大事なの?ねぇどうなの?」
咲夜は結人に抱きつき、顔を近づける。
「もっもちろん咲夜が一番大切だよ。大切な家族だもん。」
「なら証明してください。」
「証明?どうすればいいの?」
すでに回答を決めていた咲夜はボソッと呟く。
「お風呂・・・」
「え?もう一回言ってくれない?」
本当はバッチリ聞こえていたが、確認のためにもう一度聞く。
「私と久しぶりにお風呂に入ってくれたら許してあげます。」
「い、いや他のにしない?ちょっと厳しいというか何というか・・・もう十五歳なんだし・・・」
「こんなに愛してるのにどうして一緒に入ってくれないの?」
結人が拒否すると途端に咲夜の目に光が無くなる。
「い、いやそんな事は・・・」
「一緒にお風呂に入ってくれないと死ぬ。そうすれば私は結人さんの中で一緒に生きていられます。あ、そうだ~それならいっその事、一緒に寝れば、永遠に一緒だね・・・へへへ」
それを聞いた結人は、完全に自分の世界に入っていた咲夜をそっと抱きしめた。
「一緒に死ぬのはいいけど、それは今じゃない。僕はこれからも咲夜を一生支えていくつもりだよ。だから・・・」
結人は耳元に近づくとそっと囁いた。
「だから、そんなこと言わないで僕の咲夜・・・」
「は、はい///」
結人囁きによって完全にハートを撃ち抜かれた咲夜は強く抱き返したのだった。
その日はいつも通りの結人の腕の中で、いつもと違って一睡も出来なかった。
*
step4
相手を監禁する。
「結人さんを監禁なんてできるわけがないですね。どんなに強力な結界を張っても空間ごと捻じ曲げられてしまいますし・・・実現は不可能ですね。他のを試すとしましょうか♪」
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