穢土の蛇

紡わかめ

第序話

笹丘捌緋ささおかはつひは、神様である。


蛇神の形を体に宿した、大きな蛇神である。

彼女は、崩壊した国の新たな神様として国を再び動かすために、八つの神通力を使って物語を紡いでいる。


物語性に満ちきった、非日常の世界。


この物語は、そんな非日常の再生記だ。

最盛期を迎えるための、記録である。


もっとも、この荒廃した世界では非日常を日常だと受け入れないといけない。


とてもとても残酷で、それ故に美しい世界。

彼女は、そんな世界で信仰を集める。信仰を集めるために人々を集める。


荒廃の際に失われた、人の営み、各地に散らばっていた文化。それらが消え去った今、新たな神様として笹丘捌緋は走っている。


うねりながら、真っ直ぐに。


例え自分が伝承だけの形のない存在となっても、それが本望だと笑えるように。


序章は幕を綴じる。だが何度でも言おう。


この物語は、残酷な記録である。

非日常に生まれた記録は、美しい物語となる。

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