ドジで美人な優等生は金髪ヤンキーと付き合っている

@danielsalem46

第1話 ドジで美人な優等生は金髪ヤンキーと付き合っている

キーンコーンカーンコーン…


授業の終わりを告げる鐘が校舎に鳴り響く


普通の生徒達は教室で帰り支度をしている


飛:あれ、シャーペンどこだろ?


この飛鳥もその普通の生徒の一人…


彼女は運動は苦手だが勉強はできる


つまり、優等生だ


だが、彼女はかなりのドジなようで…


飛:あ、あったあった…


足元に落ちていたシャーペンを拾い上げ、黒髪を耳に掛けながら頭を上げると…


ガツンッ!!


教室中に大きな打撃音が響き渡る


飛:いったぁぁっ!!


机に思いきり頭をぶつけてしまったのだ


飛:あうぅ…


両手で小さな頭を擦りながら悶える飛鳥


奈:ちょっと大丈夫?


隣にいた女子生徒・奈々未が思わず声をかける


飛:うん…平気平気…


奈:ほんと飛鳥ってドジだよね


飛:そ、そんなことないよ!


勢い良く机に手を乗せるとノートが床に散乱した


飛:あ…


奈:アンタ、頭は良いのにほんとに抜けてるんだから


飛:うぅ…


渋々ノートを拾い上げていると教室の外から怒号が聞こえてきた


○:おらぁぁぁぁぁぁっ!!!


バキッ!!!!


この授業中だったにも関わらず中庭で拳を奮っていたのはど金髪の男子、○○


そう、ヤンキーだ


男生徒:ぐっ…くそ…覚えてろよ…!


○:そっちから喧嘩吹っ掛けて来たくせに逃げてんじゃねぇぞ!!


奈:飛鳥、またやってるよ?


飛:え?


3階の教室の窓から見下ろすと…


飛:あぁ…


また喧嘩してる…


だがこの学校ではもうこれが日常


喧嘩している事に誰も突っ込まなくなっていた


それよりも飛鳥は他に心配な事がある様子…


奈:飛鳥、帰ろ?


飛:あ、まって…


ガッ!


飛:きゃあ!


机に躓き、教室の真ん中で思い切りズッコケてしまった飛鳥


飛:ぁぅぅ…


奈:あ、大丈夫?


もう奈々未も見慣れたかのように安否を確かめていた


飛:だ、大丈夫…あ…


奈:血出てるじゃん、今回は派手にやったね〜


そう言いながら奈々未は絆創膏を取り出し、慣れた手つきで飛鳥の膝に貼り付ける


飛:ありがとう…


「いえいえ、それよりも…あいつ、来るよ?」


飛:あ…


○:………ぅぅぉぉおおおおおおおっ!!


さっきのヤンキーの声が教室中に響き渡った


全員が廊下に視線を向けていたが…


○:飛鳥ぁぁぁっ!!


教室の窓から○○が飛び込んできた


飛:きゃあっ!!


奈:ちょっと待ってここ3階よね?どうやって窓から入ってきたのよ?


○:壁走ってきたに決まってるだろうが!!


奈:無茶苦茶ね


○:おい飛鳥大丈夫か?!


○○が慌てて飛鳥に駆け寄り、安否を確認する


飛:だ、大丈夫だよ…そんな慌てなくても…


○:慌てるに決まってるだろ!!俺の女が怪我してんだぞ!


飛:俺の女…/// ってちょっと…?!


そう、何を隠そうこの二人は付き合っているのだ


なぜこの優等生とヤンキーが付き合ったのかはいずれ書くとして…


○○は飛鳥をお姫様抱っこで抱き上げた


○:病院行くぞ!!


飛:病院?!ちょっと大袈裟すぎ…!


○:大袈裟な訳ねぇよっ!!その可愛い足に傷が残ったら大変だろうがっ!


奈:病院ってどこの病院よ?


○:…泌尿器科?


奈:バカなの?


教室にいる生徒全員が○○達に注目している


飛:ねぇ恥ずかしいから降ろして…


○:とにかく病院は病院だ!どこも同じだろ!


奈:○○、今アンタに出来るのは病院でなく自宅に連れて行って手当てしてあげることよ


○:そ、そうか!よし分かった行くぞ!


飛:え?!このまま?!


お姫様抱っこされたまま飛鳥は○○に連れて行かれてしまった


飛:な、ななみぃぃぃぃ…!


奈:はぁーいまた明日〜👋


─────────────────


次の日…


○○は超早起きをして飛鳥を迎えに行った


飛:だから、もう大丈夫だって…


○:そう言って今まで何回も躓いてきたじゃねぇか


飛:大丈夫だって。もう先に行くから


○:あ、おい!


足早に飛鳥が先を歩いていく


飛:一人で行けるもん!


○:バカ!その先はいつも転ける…!


ガッ!


飛:きゃっ!


案の定、何も無い平らな道で足が引っかかった


○:飛鳥ぁ!!


5m程先でコケそうになった飛鳥目掛けて○○が全力でダイビングキャッチしようと飛び込んだ…


飛:うぅ…あれ?


気付けば周りに○○の姿は無い…


飛:○○?


○:ぐっ…ぐむむむむ…


飛:ひゃっ!!////


何やら下半身がムズムズして思わず声を出してしまう


視線を下げると○○の顔面に馬乗りになっていた


飛:あっ!!ご、ごめんなさい…///


○:……


鼻血を出して寝転びながら空を見つめる○○


飛:○○…?


○:いい…


飛:いい?


○:…良い景色だった


飛:死んで


○:ちょっ…!!飛鳥やめ…!!ぐはぁっ!!!


────────────


奈:あ、きたきた。おはよ〜


二人が教室に入ると奈々未が声をかけてくれた


飛:おはよ〜


○:うっす…


奈:○○、なんで顔に足跡ついてんの?


○:良い物を見た代償だよ


飛:ふんっ…


奈:あぁ、いつものね


席に着こうとすると奈々未が続けて話しかけてくる


奈:そういえば二人とも、さっき先生が呼んでたわよ


○:また呼び出しかよ…


飛:え?私も?


奈:昨日学校中をお姫様抱っこして走り回ったからじゃないの?


飛:今まで呼び出しなんかされた事なかったのに…


真面目に学校生活を送ってきた飛鳥にとってそれはショック過ぎた


○:まぁまぁ、俺が悪いんだし飛鳥は隣で立ってるだけで大丈夫だろ?


飛:はぁ…


飛鳥は渋々職員室へと歩いていった


後ろを能天気に歩く○○を無視して…


──────────────


先生:おまえ…壁走ったって本当か…?


職員室で○○は尋問を受けていた


○:あぁほんとだよ。


先生:………猿なのか?

○:猿じゃねぇっ!!


飛:猿だよもう…


先生:ったく…喧嘩は多目に見てやるが危ない事はするんじゃないぞ?


飛:いや喧嘩もダメだって…


○:はいはい、じゃあな


飛:○○!先生にそんな言葉遣いしちゃだめだよ!



先生:齋藤はほんとに良い奴だな…○○、見習え


○:行くぞ飛鳥


飛:あ、ちょっと!すみません失礼します


先生に一礼すると飛鳥はトコトコと○○の後ろをついていった


○:そこ、段差あるから気を付けろよ


飛:あ、うん…///


こんな見た目だけど気遣いはできる…


こういう所は好きなんだけどなぁ…


廊下を歩いて教室へ向かっていると…


「おい!○○!!」


乱暴に声をかけられ、振り返ると昨日○○に喧嘩を吹っ掛けてきた男子生徒が立っていた


○:あ?おまえ昨日の…


男生徒:また彼女とイチャイチャしてんのかよ


○:イチャイチャしてて文句あんのか?


飛:○○、喧嘩はだめだよ…


でも○○は警告を無視して中庭の方へ歩いていく


飛:○○!


○:先公からは喧嘩の許可は出ただろ?


飛:いや普通に考えておかしいからそれ…


○:一瞬で終わらせるから待ってろ


男生徒:一瞬だと?舐めやがって…!!


男子生徒は○○に向かって走り出す


だが…


○:おるぁぁぁぁっ!!


回し蹴りで蹴り飛ばした


男生徒:ピクピクッ…


男子生徒は白目を向いて地面に伸びてしまっている


○:な?一瞬だったろ?


そんな男子生徒を無視してこちらに歩きながらそんなことを呟いた


飛:絶対いつか復讐されちゃう…


○:大丈夫だって、こいつにそんな度胸ねぇよ


──────────────


お昼休み…


○:ない…


○○は慌てた様子で何かを探していた


飛:どうしたの?


○:弁当、忘れた…


奈:あらら


○:仕方ねぇ、購買行くか…


財布を取り出して教室から出ようとすると…


飛:ま、○○…!


飛鳥が顔を赤くしながら呼び止めた


○:どした?


飛:○○の為じゃないんだけど…その、間違えてお弁当1個多めに作ってきちゃったから…食べたかったら食べていいよ?///


「齋藤さんのツンデレだ…///」「間違えて一個多めに…?かわいい…///」


クラスの男子がざわめきだす


奈:…(最初から渡すつもりだったくせに…笑)


○:まじで…?いいのか?


飛:う、うん///


○:おっしゃあ!!飛鳥の手作り弁当!


蓋を開けるとおにぎりが二つにふんわりした卵焼きと唐揚げなどお弁当の定番メニューがぎっしり詰まっていた


○:すげぇ…いっただっきまーす!


奈:へぇ…飛鳥にしては美味しそうに出来てるじゃん。一つちょうだい。


パクッ…


奈:ん?(これって…)


飛:ど、どう…?///


奈:飛鳥、これ調味料間違え…


○:うまいっ!!!!


○○が大声で叫んで奈々未の言葉を遮った


飛:ほ、ほんと?!


○:あぁ!!今まで食べた中で一番美味いぞ!!


飛:や、やった…!///


奈:…(○○、良いとこあるじゃない…)


ある程度口に頬張ると○○は…


○:ちょっと飲み物買ってくるわ!


そのまま教室から出ていった


奈:あ、私も買いに行こ


奈々未も席を立ち、廊下に出る


奈:飛鳥、料理のセンスはちょっと壊滅的かな…


しばらく廊下を歩いていると…


奈:それにしても○○も良くあんなに美味しく頬張って…ん?


○:チーンッ………


奈:ちょっ、○○?!


○○が白目を剥いてひっくり返っていた


飛:まだ帰ってこないかなぁ〜?笑




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