第4話 メンバー集め

   植木と内海は、ボーイズグループを作る事にした。女の子は自分たちが扱いに 

  くいという理由だった。ただそれだけ。

植木:「とにかく、メンバー集めだ。高校生のめぼしい子には片っ端から声をかけよ

  う。」

  インターネット上にある、文化祭や体育祭、ダンスの大会やら新体操の大会な 

  ど、あらゆる動画をチェックした植木と内海。そして、高校や習い事の場へ出向

  いて行って、スカウトを重ねた。だが、有力事務所からのスカウトならともか

  く、得体の知れない人物からの勧誘など、そう簡単に乗ってくれるものでもな

  い。

   だが、2人は諦めなかった。ふと、内海が珍しい動画を見て、

内海:「この子、どうだ?顔もきりりとしているし、何といっても環境問題に興味が

  ありそうだ。」

   内海が示したその動画は、高校生の英語弁論大会だった。結果的に3位になっ

  たその男の子は、月島流星(つきしま りゅうせい)。高校2年生の時の映像だ

  った。今は3年生になっているだろう。彼の弁論の内容は、地球の環境汚染を指

  摘し、我々が出来る事をもっと積極的に行っていく必要がある、と訴えていた。

植木:「うん、うん、いいね。話しに行ってみよう。」

  ということで、植木は月島流星の通っている高校を訪ねて行った。NPO法人の

  名刺を渡して学校の中に入った植木だったが、本当は既にその法人は辞めてい

  た。

植木:「君の力が必要なんだ。一緒に地球を救おうじゃないか。」

  それが、植木の決まり文句だった。

流星:「アイドル、ですか?」

植木:「そう。でも、ただのアイドルじゃない。地球を救うアイドルだ。環境問題な

  どを訴えて、みんなに行動してもらうためには、人気者になる必要があるだろ?

  君ならできる。俺はそう確信しているんだ。」

流星:「はあ。」

  その場では返事をもらえなかったものの、今までの子とは違う感触を得た植木。

  後日また連絡するという事で連絡先を交換した。

   別の日に連絡をした時、

植木:「アイドルになる準備をしながら、様々なボランティア活動をしてもらう。君

  は弁論大会3位という功績があるんだし、大学に推薦で行ける事は間違いない。

  もし、君が大学生のうちにデビューできなければ、君をNPO法人に推薦する。

  僕はいろんな活動をしてきて、人脈もそこそこあるし、君の望むところへ推薦で

  きるよ。」

  と、話をした。人脈があるのは本当である。

流星:「分かりました。やります。やってみます。僕も、地球を救うお手伝いができ

  るなら、やってみたいです。」

植木:「本当かい?!よかった!!」

  固く、握手をしたのだった。


   内海はある高校のサッカー部の練習を見に来ていた。ターゲットは、試合の動

  画を見た時に、シュートを決めて喜んで、宙返りをしたイケメンのストライカ

  ー。先ほどさりげなく名前をリサーチし、彼が不知火 篤(しらぬい あつし)

  だという事が分かったところである。

   休憩時間になったようで、篤が1人で座ったところへ、内海が出向いて行っ

  た。NPO法人の名刺を渡す。

内海:「君、アイドルになる気はない?」

  そうして、流星を誘ったのと同じように説得した。篤は見るからに目立ちたがり

  屋で、アイドルにならないかと言った時は、かなり目を輝かせていた。地球を救

  おうという文句にはそれほど反応しなかったが、とりあえず大学には推薦で行け

  そうだと思ったのか、その日のうちにOKしてくれたのだった。


   文化祭のダンス動画を見て、スカウトしたのが水沢涼(みずさわ りょう)。

  文化祭のDJをやっている動画を見てスカウトしたのが木崎大樹(きざき だい

  き)だった。また、男子新体操部の大会で、優勝こそしなかったが、とにかくス

  タイルと顔がいい子を見つけてスカウトしたのが金森光輝(かなもり こうき)

  だった。

   更に、体育祭の動画でたまたま見かけた子に、どうしてもカリスマ性を感じて

  しまった植木たちがスカウトしに行ったのが土橋碧央(つちはし あお)。彼は

  集団行動のリーダー役をやっていたのだが、とにかく顔がいい。声もいい。一番

  スカウトに時間を費やしたものの、最後には碧央の方が根負けした。彼はまだ高

  校1年生だったので、習い事だと思ってダンスと歌をやってみようという提案に

  乗ってくれたのだった。

   更にもう1人、ストリートダンスをやっている子を動画で見つけた植木たち

  は、土手でダンスの練習をしているその子たちを訪ねて行った。高校生のターゲ

  ットには、にべもなく断られた植木だが、その時にふと、一緒にダンスをしてい

  た、まだ子供っぽさが残っているが、かなりのイケメンで、ダンスの上手な子を

  見つけた。

植木:「あの子は、何年生?」

  スカウトした子に尋ねると、弟の友達だという事で、中学3年生だった。植木は

  ターゲットをその子に変更し、交渉を重ねた。その中学生が日野瑠偉(ひの る

  い)。瑠偉には親御さんの元へも足を運び、地球を救う宣言の元、とにかく高校

  にはちゃんと行かせる事を条件に了解を得たのだった。


   こうして、7人のメンバーが揃ったのだった。

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