青単痕子の過ち

ミニマル

痕子の独白

 私は、青が嫌いだ。日常に当然のように溶け込んでいるのが不思議だ。鳥肌すら立つ。街に溢れる青は、やけに白々しく見えるから嫌いだ。青々とした自然、という表現は、不自然過ぎて聞いただけでイライラする。青々と広がる空が嫌いだ。自分が空に広がる色だと、当たり前に居座っている。

 

 お陰で、自分の名前とはよく格闘させられた。自分の名前を書くのが嫌で、テストをパスしたくらいだ。普段の成績が良かったので、そんなに影響はなかったが。

 

 両親は、そんな私をよく殴った。泣くことは最初の一回だけだった。あまり泣かない私を見て、イラッとしたのか、更に殴ってくる。まぁそんな雑多はどうでもいい。

 

 私には友達がいない。というか学校には行かなくなった。小学校の頃や幼稚園などのときは、流石に居たのだろうが、私の物心がついた時にはもういなかった。……いや、最初からいなかったのかもしれない。


 余す所なく排他的な私の味方はもはや、姉ともふもふだけだ。


 もふもふ。それは、人類を幸せにするものだ。数ある物の中で、神が作り、そして愛したものは、もふもふだけだと断言できる。


 猫が好きだ。ちょうどよくもふもふが揃っていて、しかも触ることで生命の動きを感じることができる。これほど究極の癒しがいただろうか。いや、居ない。


 人類の生活の中で、もふもふと過ごすことは最も有意義だ。その為に人類は生まれてきたものと言える。


 姉が好きだ。私より先に生まれ、そして私の唯一の共感者たる者。私は姉がいなかったらどんな生活をしていたか、想像もつかない。


 ……独白はここまでにしよう。正直、これは私の話ではないのだ。私は単純な語り手で、主人公ではない。ここで語られるべきは、


 私の姉、青単 眠子ただ一人なのだから。

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