思い出トリップ

薄めたみそ汁

第1話 古本屋との出会い

残念ながら、桜に歓迎されながら入学を迎えられなかった。

鼻をすすりながら、大学の門をくぐった。

冷たい風が鼻腔を刺激し、鼻水が止まらなかった。

入学式前日に、徹夜で本を読んでしまったため欠伸をしながら、入学式に臨んだ。

長峰 保(ながみね たもつ)は、将来、薬剤師になることを目指して、医療大学に入学した。

長峰はお坊ちゃまというほど裕福な家庭ではなかったが、奨学金は借りなくても大学を卒業できるくらいの家庭である。

長峰は入学式が終わり次第、すぐにバイトの面接を受けに行った。

大学生になったからには、社会に出るまでの数年の間に少し遊びたいと思い、遊ぶためにバイトをすると決めていた。

長峰がバイト先として希望していた場所は、古本屋だった。

小説はあまり読まないが、科学にまつわる本であれば何でも読んでいた。

長峰は、面接の場所である古本屋に着いた。

店の外で店内の様子をうかがってると、店長らしき優しそうなおじさんが手招きをしてくれた。

自分の父親より年上くらいのおじさんが面接をするようだ。

ネームプレートには森本と記されていた。

面接では、面接を受けようと思った理由など様々な事を質問された。

当たり障りのない回答を続けた。

一通り質問が終わった後に、採用と言われた。

あっという間に採用されて、面接に受かった実感がなかった。

店員不足で困っていたのだろう。

長峰は翌日から働くことになった。

まだ研修期間で、色々なことを学ぶことから始まった。

長峰は器用ではないが、真面目であったため、二週間で仕事を身につけた。

大学で勉強をして、授業が終わり次第、古本屋で21時までバイトをした。

ある休日、お客さんがあまり来なく余裕があったため、長峰は陳列されている本を手に取って読んでみようと思った。

手に取った本は、医学生向けの解剖生理学の本だった。

長峰はその解剖生理学の本を手に取った瞬間、頭の中に映像が流れてきた。

怖くなってすぐに棚に戻したが、気になってまたその本を手に取ってみた。








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