第7話 求婚
・・・・・・・・出来る事なら10分前に戻りたい・・・・・・
何という早とちりだろう!
雰囲気作りも何も無いじゃないか!!
「あ!ごめん。」
「気持ちが焦って・・・・。」
「もうこうなったら先に言うけど・・」
「良かったら、この先ずっとそばにいて欲しい」
空来は何一つ驚きもしないで私の話を聞いていた。
「ありがとう。あなたがそう言ってくれるなら。」
「こちらこそよろしくお願いします」
「本当!」
「まじで!」
「ガチ?」
・・・・・・・・・もう何言ってるか分からなくなってる・・・・・・・・
そう言った瞬間に前菜が運ばれてきた。
汗が一気に噴き出ている。
のどが渇いたから水を一気に飲み干した!
そういえば飲み物を注文していなかった。
とにかくビールが飲みたい!
空来はアルコールを飲まない。
いつも水かミルクか甘い清涼飲料水だ。
前菜からデザートまで1時間半くらいの時間だったが、一瞬で時が過ぎていった気がする。
その間に空来といろんな話をした。
結婚式もしたいな。
旅行も行けたら嬉しいな。
新居はどこにしようか?
子供は何人ほしい?
車も買い替えなきゃ。
ほとんど私一人でしゃべっている!
かなりの有頂天・・・・。
その間、空来は笑いながら相槌をうっている。
喜んでくれているとは思うけど・・・・。
「今日は泊まりにきたら?」
アルコールの助けも借りて、空来に提案してみた。
「明日の朝が早いから、今日は帰るね」
「そうなんだ。うん、分かった」
「ごめんね」
「全然!」
この食事の途中でサプライズプレゼントを渡していた。
とても喜んでくれた!
空来のこの笑顔を見るのが大好きだ!!
この笑顔が見れれば、泊まりに来れない事も何も残念じゃない!
「そろそろ帰ろうか?」
「明日早いんだもんね?」
「うん」
「今日はありがとう。こんな素敵なプレゼントまで」
レストランを出たころには少し雨が降り始めていた。
「今日は家まで送るよ」
「良い?」
空来は少し考えてから・・・・。
「いつもごめんね。今日もいつもの所まで送って」
「そうだね。分かった」
レストランから待ち合わせした駅まで歩いて来た。
幸せな時間だ!
「じゃあここでね」
「また電話してね」
空来はそう言って駅の中へと歩いて行った。
ここでいつもと違う感情が沸いてしまった。
結婚の申し込みも受けてくれた。
どうしても空来の家にも行ってみたいとの衝動が・・・。
空来が見えなくなってからすぐに空来の後を追った。
電車は上り、下り共に到着していない。
この駅には1路線しか電車が無いので、上りか下りのホームに必ずいるはずだ。
いるはずの空来の姿が無い!
トイレかな?
しばらくすると上り電車がホームに入線してきた。
その時、反対の改札から外に向かって歩いている女性の姿が・・。
空来だ!
あれ?電車には乗らないのだろうか?
そう思うと同時に、空来の後を追っている自分がいた。
・・・・・・・・どこに行くのだろう?・・・・・・・・・・
一気に不安が・・・・・・・・。
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