デジャブ

クースケ

第1話 ここは、どこだ


男はそこに立っていた


「ここは、どこだ」

第一声がそれだった。

周りを見渡すが人影1つ見つからない。

目線にはモヤのようなものが広がっており彼の視線を制限していた。


目をぎゅっと細めて見つめるとモヤの切れ目から所々みえるようすは、丘のような盛り上がりはあるようだが、周りに草や木や地面もない。だたっぴろい白い建物の中にいる感覚だ。

体感は、暑くもなく寒くもなく丁度いい。


しかしなんで、こんなところへきてしまったのか・・・まったく、覚えがない。


これから、どうしたものか?


悩んでいてもしょうがない。

とりあえず、先に進んでみるか。


そう決めると足元に無数の何かが、アリのように行列を作っているのに気がついた。

しばらく経ってこれは、カタツムリだと認識した。

殻を背おっている。全体の長さが5センチぐらいはある。

その行列は、右にカーブになっていたりはみ出ていたりしているが、それでもなんとか前の列に続いている。


このカタツムリは、どこに行くのか?

自分の巣?

カタツムリなんて、子供の頃以来だ。とりあえず、この行列の後をついていくことにする。


かなり歩いた気がするが、周りに時計もないのでさほどと、時間は経ってないかもしれない。

男は小腹がすいた。

頭の中に、チョコクッキーが浮かぶ。

すると目のまえのカタツムリがいた所に、チョコクッキーがあった。


(カ、カタツムリが、クッキーに変わった?こっ、これは夢なのか?)一瞬ためらったが、こんな便利な方法を使わない手はない。

食べたいものを、手当たり次第思い浮かべた。カツ丼、おにぎり、サラダ、紅茶。どれも、リアルに美味しい。しかも器ごと思い浮かべると、そのままでてくるのだ。魔法でも使えた気分だ。「ふっー、食った。食った」満腹で、歩くきがしない。

しばらくそこで休むことにした。


彼は、モヤの隙間から遠くを探るが果てしなく、そう、その表現がピッタリはまる。果てしなく広い。そして、カタツムリの列もアリに見えるくらいに無数に連なっている。

ふと眠くなってきた。

それから不思議な夢をみた。

白くてふわふわの雲の上に寝転んでいる。雲は少し揺れていて、その感触が居心地がよい。しばらくして、目が覚めると僕は夢で見たように寝転んでいた。

そして、微弱な振動?!身体が揺れていた。いや、性格には、身体は寝ながら何かに運ばれていた。感覚はあまりないが、あのカタツムリに違いない。妙な感覚だ。数十個もの、カタツムリに運ばれている?

これは、絶対夢だ。どこから、どこまでが夢なのか分からないが?

そして、気持ちの良さからか何回も寝ては、醒めてを繰り返していた。

そして、目が醒めた時

少し前に、巨大な白い扉があるのに気がついた。

このまま、進めばぶつかる?

いや、この速度だ。カタツムリからずれて、降りればいい。気にすることはない。

そう、ゆったりと構えていた。すると、その巨大な扉が大きな音をたてて、開いた。

その時、同時に下にいるカタツムリ達が急に加速しだして、自分の身体が開いた扉の中に投げ込まれる?! ように、宙に浮いた。(あー、やめろ。助けてくれー) 扉の向こう側は、空のようだ。青空が、広がっていて雲が所々に広がっていた。静寂な青空の中に手足を、バタバタさせた俺が、顔をひきつらせって、つっ込んでいた。それから。真っ逆さまに、落ちていった。



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