中学生の二人
中学二年の冬、優人は風邪を引いた。
土曜日から体が怠くておかしいなと思っていたら、日曜の朝に37.6度の熱が出た。咳は出ないが、鼻が詰まって頭がクラクラする。
母に連れられ休日診療所で受診すると、インフルエンザではなくただの風邪だと診断された。
家に帰って、優人は自室のベッドで横になったが、その側には雪奈が張り付いていた。
「あの、雪奈さん。母さんはどこ?」
雪奈に看病されるのは不安だった。
小学生のときに一度、雪奈が付きっ切りで看てくれたことがあったが、粉薬や水をこぼしたり、寝ている布団の上で暴れ回ったりと散々な目に遭ったのだ。
出来れば母に看病されたい、というのが優人の本心だった。
「お兄ちゃんのために、ゼリーとか果物を買いに行ったよ。」
診療所で貰った薬を一つずつ取り出し、説明書を読みながら雪奈が答えた。
雪奈は、看病に必要なものを一通り一階から持ってきていた。
「風邪が移るといけないから、オレの側にいないほうがいいよ。」
「何言ってるの、お兄ちゃん。兄の看病は妹の役目でしょ。」
「いや、それは普通母さんの役目だと思うけど。」
「何よ。そんなにあたしが嫌なの?」
雪奈がベッドで寝ている優人の方へ向き直り、腰に手を当てて眉間に皺を寄せた。
「うん。」
「あ?もう一度言ってみろ。」
「痛い痛い。病人だからやめて~。」
赤味がかった優人の頬を、雪奈が容赦なくつねる。
「こんな兄想いの妹はいないんだぞ。少しはありがたいと思え。」
優人の頬から手を放し、雪奈は再び机のほうへ体を戻した。
「うう・・・。」
兄想いの妹はこんなことしない。
この先のことを憂いた優人が胸の内で呟いた。
「ちゃんと看てあげるから。ほら、この薬を塗るよ。」
雪奈は、手に持っていたプラスチックの容器を枕元に置いて、優人の掛布団と毛布を捲った。
ベッドに乗っかかり、無言で優人のパジャマの前ボタンを外していく。
「あの、何をしてるの?」
「鼻の通りを良くする薬を塗るの。お兄ちゃん、鼻が詰まって苦しいでしょ。」
「う、うん。」
「これを胸に塗ると楽になるみたい。」
ボタンを外し終えた雪奈は、優人のパジャマの前を開けてシャツの裾をガバッと首元まで捲り上げた。
「キャッ。やめてっ!」
「もう、変な声を出さないでよ。」
「だ、だって。」
「だから薬を塗るだけだって。変なことはしないからさ。」
「う、うん。分かった。」
雪奈に諭され優人は大人しく頷いた。
「お兄ちゃんのおっぱい可愛いね。」
雪奈が指で薬を塗り広げながら、優人の乳首をじっと見ている。
「雪奈と一緒だね。」
雪奈の胸の大きさは、服の上からだとほとんど無きに等しかった。
小学五年生のあの日以来、優人は雪奈と一緒にお風呂には入っていない。
真っ平だった雪奈の胸の膨らみが、どれだけ成長したか優人には分からないが、今とそう差は無いようだ。
「あたしがまな板だと?こいつめっ!」
雪奈が指先に力を込めて、優人の乳首に薬を塗りたくった。
「いやあああ。そんなこと言ってない~。」
優人は、雪奈から逃れようと身を捩るが、体力が落ちているのでそれは叶わなかった。
「お前が悪いんだぞ。ほれほれ。」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、雪奈は優人の乳首を執拗に責め立てた。
「あははは。やめ、くすぐったいからやめて。謝るから~。」
優人は足をバタバタさせながら雪奈の腕を払い除けようとする。
「反省した?」
「したした。ごめんなさい。」
「もうあたしのおっぱいが小さいって言わない?」
「言わない。言わないです。」
「じゃ、許してやろう。」
「はう・・。お兄ちゃん、病人なのに・・・。」
「次は、体温体温っと。」
優人のシャツの裾を直した雪奈が、ベッドから降りて机にある体温計を手に持った。
「雪奈さん。何だかおっぱいがヒリヒリするんだけど。」
「薬の成分にメントールが入ってるからでしょ。」
「そんなものをおっぱいに塗るなんて酷い妹だ。」
「塗るなと書いてないから大丈夫だって。それより、熱を測るから脇を開けて。」
優人の非難を悠々と受け流し、雪奈は脇の間に体温計を挟んだ。
「のどは渇いてない?」
「あ、渇いてる。お水飲みたいです。」
「ちょっと待って。」
雪奈は、机の上のペットボトルを手に取り栓を開けた。
その中味を一口含んで、優人の顔に触れそうな距離まで自分の顔を寄せた。
「ん。」
「な、何してるの、雪奈さん?」
優人は寝たまま、雪奈の顔をじっと見ているだけだった。
「んーっ!」
口に含んだ水で頬を膨らせたまま、雪奈が必死に目で何かを訴えていた。
「えっと。にらめっこ?」
「ん、ん、ん、ん、んーっ!」
その時、ピピ、と優人の脇から電子音が鳴った。
「もうっ!口移しだって言ってるのにっ!」
雪奈は、口の中の水をゴクリと飲み込んで、優人の脇から体温計を取り出した。
「そ、そんなことしないから。」
「うわっ。38度もある。」
雪奈が驚いた表情で体温計を睨んだ。
「そんなにあるの?そう言われると何だか頭がぼうっとしてきた。」
「いいから早くこれ飲んで。」
雪奈がベッドに乗り、優人の頭を抱え上げた。
ペットボトルを優人の口に宛てがい水を飲ませる。
ゴクゴクと優人が水を飲んだあと、ペットボトルの栓を閉め、優人の頭を優しく枕の上へ戻した。
ペットボトルを慌ただしく机に置くと、頓服薬と書かれた紙袋から薬を一錠取り出す。
「いい?お兄ちゃん。」
雪奈が、優人のふくらはぎ辺りに自分の膝を置いた。
「えっ?な。」
優人が答え終わる前に、雪奈は優人のズボンとパンツを一緒に掴んで、ためらいもせず膝まで引き下ろした。
一瞬、優人は何をされたのか理解できず、下半身を雪奈の前にさらけ出したまま硬直していた。
「あ、あ・・。」
「縮こまってるね。」
雪奈が、膝の途中にあったズボンとパンツを優人から剥ぎ取る。
「いやああああああああああ。」
優人は、急いで股間を両手で隠し、背中を雪奈に向けた。
「今さら隠したって遅いよ、お兄ちゃん。」
「ど、どうしてこんなことするのっ!」
優人が膝を折り曲げ体を縮ませる。
「熱が高いときは、座薬を入れろって書いてあったからね。」
「だ、だからっていきなり脱がすなんて酷いじゃないか。」
優人は、顔だけを雪奈に向けて抗議を始めた。
「そんなに恥ずかしいの?」
「あ、当たり前だ。お互い中学生なんだから。」
「小さい頃、毎日お風呂で触ってたから気にしないよ。」
「あの頃と今じゃ全然違うだろ。」
「毛が生えて大きくなっただけじゃないの。」
「くっ。なんてことを口にするんだ、この妹は。」
「もういいから、さっさとお尻をこっちに突き出して。」
雪奈が、むき出しになっている優人の白いお尻を、ペチペチと軽く叩いた。
「やだ。」
「どうして?」
「お尻の穴まで見られたくない。」
「妹だからいいでしょ。」
「で、でも。」
「ほら、このままだと熱が下がらないよ。早くうつ伏せになってお尻を高く上げて。」
「うう・・・。どうしてこんな羞恥プレイをしなければいけないんだ。」
優人は、眼に涙を浮かべつつうつ伏せになった。
コンコン。
ドアをノックしたあと、返事を待たずに母が入ってきた。
「母さん、助けてっ!」
優人が母に助けを求めて手を差し出した。
「あら。座薬を入れるところだったの?」
母は、優人の姿を見て、雪奈のほうへ先に話しかけた。
「うん。熱が38度もあったし。」
「そんなにも?それじゃ、急いで座薬を入れてあげないといけないわね。」
「そうなんだけど、お兄ちゃんが恥ずかしがるから困っててさ。」
「わたしも手伝うわ。二人一緒なら優人も恥ずかしくないでしょ。」
「入れるのはあたしだからね、お母さん。」
「分かってるわよ。わたしは優人を押さえておくから。」
母と娘は、優人のお尻を眺めながら怪しげな笑みを浮かべていた。
逃げ道などどこにも残されていない。
優人は黙り込んだまま、二人に向かってお尻を差し出した。
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