大きいのに可愛い妹は好きですか?
天上 樹
プロローグ
「これほしいから買って。」
「おこづかいは?」
「なくなった。」
「もう使っちゃったのか。」
「うん。だから買って。」
「しょうがないなぁ。この青いやつか?」
「ちがう。こっちの赤いやつ。」
「おじさん。これください。」
「早くちょうだい。」
「まって。これをあげるときにはすることがあるんだ。」
「何するの?」
「昨日テレビで見てたからな。じっとしてて。」
「うん。でも早くして。」
「えっと。なんだっけ?」
「もう、早くして。」
「まず、おまじないからだ。」
「おまじない?」
「うん。よく分からないけどな。」
「分からないの?」
「だから、おまじないなんだ。」
「たぶんこんな感じだったかな。」
「ふ~ん。これでおわり?」
「あとはね。ちょっと目をつむってて。」
「わかった。」
あたしはキスをされた。
それがあたしとあの人の初めてのキスだった。
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