プライとイケメンになる呪い
@tetsuya00
第1幕
▼ラトル
酒場から老若男女の人が出てきては倒れていく。
村人「これが...蒸し風呂説法...。」
暗転して時間経過。逃げる女性。それを追うプライ。
プライ「待ってくだされ!もう少しだけ私の話を...!」
女性「いーやーー!」
プライの前にメリナとノアが立ち塞がる。
プライ「げぇ、メリナ殿!」
メリナ「反応が失礼!」
殴る。
プライ「これはもう、私にはどうにも...。」
メリナ「努力が足りない!」
殴る。
メリナ「...また強引な勧誘をしたそうね。苦情が来ているわよ。」
ロゼッタに連行される信者達が隣の通りを過ぎていく。
ロゼッタ「はーい、皆さんこちらですよー。経典について勉強しなおしましょうねー。」
信者「内なる大海とは自らの肉体。」
信者「翼とは背筋。」
信者「我々が神と邂逅する日も近い。」
信者「もしかしたら我々が神なのかもしれない。」
メリナ「...あと、異端審問官からも。」
プライ「私はちゃんと教えているのですが...。」
メリナ「そうね。でも、暑苦しい説法を最後まで聞いてくれる人を探す仕事ではないのよ。もっと多くの人に聞き入れてもらえるようになさい。そうすれば自ずと偏った解釈をする人は減るわ。」
プライ「精進します...。」
アルドとヴァルヲとチルリルとモケが来る。(以降、基本的にメリナ含む3人とペットは2人1組でいるものとする)
アルド「なんだ、またやってるのか?」
プライ「アルド殿。これは見苦しいところを...。」
チルリル「まーーったく、メリナは小言が多いのだわ。そんなに怒っていたら、将来ガミガミおばさんになってしまうのだわ。」
メリナ「...あなたの教育不足せいなのだけど。」
チルリル「チルリルは個性を大事にする主義なのだわ。それに熱が入るのは悪いことでは無いのだわ。」
素早くチルリルはプライの頭を撫で回す。
チルリル「よーし、よしよしよしよし、なのだわ!」
プライ「ぬ、ぬわーー!」
チルリル「だから...、チルリルの胃に穴が開く前に早く加減を覚えるのだわ...。」
プライ「うっ...。」
アルド「はは...は...(苦笑い)。」
メリナ「まったく...。」
一拍置いて。
メリナ「プライ、あなたはたださえ顔が怖いのだから、せめて穏やかな物腰で相手と接しなさい。その顔で大声を出されたり、暑苦しく迫られたら相手がどう思うかをよく考えることね。」
プライ「しかし、この顔は生まれつきでして...。」
メリナ「そうじゃないの。自分の欠点とちゃんと向き合うべきだと言ってるのよ。」
プライ「む...?」
メリナ「......まあいいわ。チルリルと一緒に始末書を後で出しなさい。さぁ、行くわよノア。」
ノア「きゅ!」
メリナとノア去る。
チルリル「人には人のペースがあるから、気にしなくていいのだわ。じゃあ、チルリルも用があるから、そろそろ行くのだわ。」
チルリル去る。画面から消えた後。
チルリル「モケ、ぼーっとしてると置いてくのだわ。」
モケ「も、もきゅーーー!」
モケ、慌てて追いかける。
アルド「まぁ、チルリルもああ言ってくれてるし、気長にやればいいんじゃないか?」
プライ「しかし、これ以上彼女達に心労をかけたくありませぬな...。」
一拍置いて。
プライ「ここは少し暑い。湖の風に吹かれて頭を冷やしてこようと思います。」
アルド「そうだな。俺も少し付き合うよ。」
▼ティエレン湖道
プライとアルドが歩いている。
プライ「どうすれば、つい熱が入るのを自制できますかな...。」
アルド「本人が熱くなってるのに気付かないんじゃ難しいよなぁ。」
プライ「いっそ、アルド殿のような顔と声になれませんかな。」
アルド「それは無理じゃないか...?」
プライ「む...?」
通りの向こうにサラマンダーの眷属と魔物がいる。
眷属「やめてくれよう。そんな爪で切り裂かれたら、オイラ消えちゃうよう。」
魔物「グオオーーー!」
魔物が眷属を切り裂こうとしたとき、プライが割って入りそれを退ける。
プライ「サラマンダーのように熱い男、義によって助太刀致す。」
眷属「サ、サラマンダー様...?」
アルド、駆けつけて抜刀。
アルド「...のように熱い男さ。あの距離からよく気づいたな、プライ。俺も大精霊様とは縁があるんだ。ここは俺たちが引き受けた!」
バトル。勝利後。
アルド「よし、やったな。」
プライ「魂が神の御許に導かれんことを。」
眷属「すごい、すごい!2人ともとっても強いんだね!助けてくれてありがとう!」
アルド「君も無事で良かったよ。」
眷属「それで、サラマンダー様のような人達はどうしてこんなところに?」
プライ「それは...。」
暗転させて時間経過。
プライ「...ということがありましてな。頭を冷やして、良い方法はないかと考えていたのです。」
眷属「なるほどー。それは大変だね。...そういえば、オイラがコリンダの原で魔物に襲われたとき、困っている人をイケメンに変える女神様に助けて貰ったことがあるなぁ。」
回想。コリンダの原。女神様が眷属を介抱している。
眷属「うう...、ここはいったい...。」
女神「目を覚ましましたか。私は困っている人をイケメンに変える女神。魔物に襲われ倒れていたところを、私が介抱していたのです。」
眷属「ありがとう。困っている人をイケメンに変える女神様...。」
回想から戻る。
アルド「なんだ、その女神様...!?」
眷属「コリンダの原にいる精霊なら知ってるんじゃないかな。オイラの知り合いだと言えば教えてくれると思うよ!」
プライ「ふむ...。何か策を授けてくれるかもしれませぬ。行ってみますかな。」
アルド「あ、あぁ。なんだか不安だから俺もついて行くよ...。」
眷属「2人はオイラの恩人だから、役に立てたなら嬉しいな!上手くいくことを祈ってるよ!」
▼コリンダの原
現地の精霊達に話を聞きながら入口を見つけた2人。
アルド「この先に女神様が...?」
プライ「行ってみましょう。」
崖を飛び越えたり、登ったり、魔物の群れを倒したりと険しい道中。そして、膝をついて苦しそうな2人。
アルド「随分進んだぞ。本当にいるのか...?」
プライ「そんなものはいないと知ることが、神の教えなのかもしれませんな。そろそろ引き返しましょうか。」
アルド「そうだな。」
引き換えそうとした2人に立ち塞がる強そうな敵。
魔物「グオォォーー!」
アルド「くそっ、やるしかないか!」
バトル。勝利後。
アルド「やったか...!」
プライ「しかし、疲れが溜まっている中、この戦いは堪えましたな...。」
アルド「そうだな...。少し...休んでいくか...。」
プライ「そう...ですな...。」
2人とも倒れる。暗転して時間経過。コリンダの原だが場所が変わっており、女神がそばにいる。
プライ「ここは...?」
女神「目が覚めましたか。私は困っている人をイケメンに変える女神。私の庵の近くで倒れていたので、介抱していたのです。」
プライ「ありがとうございます、困っている人をイケメンに変える女神様..。はっ!」
慌ててそばで寝ているアルドを揺する。
プライ「起きるのです、アルド殿!」
アルド「ふぁ...、よく寝たな。お、随分体から軽いぞ!これなら下山できそうだな!」
プライ「困っている人をイケメンに変える女神様が助けてくれたのです!」
アルド「ありがとう、困っている人をイケメンに変える女神様...。はっ!」
女神「(くすくす笑いながら)賑やかな人達ですね。」
暗転して時間経過。
女神「...なるほど。それで私に会いに来たと。」
プライ「あなたは本当に、困っている人をイケメンに変えることができるのでしょうか...。」
女神「ええ、できます。しかし、私ができるのは、困っている人に《イケメンになる呪い》をかけることなのです。」
アルド「...それは呪いって言うのか?」
女神「ええ。世の中には、人をカエルにしたりと、姿形を変えてしまう呪いが存在します。私はそれと同じように、姿形をイケメンに変えてしまうのです。」
アルド「...いい話にしか聞こえない。」
女神「こほん。...いいですか、プライ。イケメンにはいくつかの種類があります。しかし、どのイケメンになるかは呪いにかかってみないと分かりません。また、呪いを解くためには過酷な試練を受けなければなりません。その試練もまた、呪いを解くときになってみないと分からないのです。それでもやりますか?」
プライ「......。」
アルド「プライ...。」
一拍置いて。壮大はBGM。
プライ「はい、お願い致します。私はこれ以上彼女達の重石になるわけにはいかないのです。彼女達のためならば、いかなる苦難も乗り越えてみせましょう。」
女神「...いいでしょう。あなたにはその資格があるようです。この庵に辿り着いたことがあなたの覚悟を証明しています。」
女神から立ち登る神々しいオーラ。大気が震える。
女神「では、いきますよ。迷える容姿の子羊よ!いま神の慈愛を持ってその容姿を作り変えん!」
プライ「ぬ、ぬわーーー!」
光に包まれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます