SS~ある日の思い出ofエフィー~
我が主と出会って2ヶ月ぐらいが経った頃じゃ。主が急にアホな事を言い出しおったのじゃ。
「もうエフィーが自分でハンバーグを作れるようになったら良いんじゃないか?」
「主、なんと非道な発言をするのじゃ! 我はそんな子に育てた覚えは無いのじゃ!」
「奇遇だな。俺もエフィーを育てたことはあっても育てられた記憶はない。そうと決まれば買い物に行くぞ」
「絶対に嫌なのじゃ! 主、作る人! 我、食べる人なのじゃ!」
「そんな古いCMのネタをどこで覚えたお前。じゃあプリン買ってやるぞ?」
「空よ、早う出かける準備をするのじゃ。我はとっくの前に完璧にしておると言うのに痛ただだだだっ!?!?」
魔力を使い一瞬で外に出ても恥ずかしくない洋服に着替えた我の頭を主は砕こうとしてきおった。虐待の容疑で通報してやろうかの? ハンバーグが食べられなくなるから無しじゃが。
そうして玉ねぎやらひき肉やらを迅速な動きで買い物かごに主は入れていくのじゃ。持ち前の慧眼で1番新鮮な食材や脂肪のバランスを見極める迷いない動き、我じゃなきゃ見逃しちゃうのじゃ。今のうちにプリンもカゴに入れておくかの。
「……おい、しれっとプリンを3つ入れたことは確認してるからな?」
「3連ぷっちんプリンなのじゃ」
「普通のが3つだったぞ。戻してきなさい」
別の作業中にこっそり入れて誤魔化すという我の高度かつ完璧な作戦は主には通用しなかったのじゃ。おのれ、流石は我の主。ぐぬぬぬぬっ!!!
「という訳でハンバーグ作っていくぞ」
「今回は既に出来上がったものが用意してあるのじゃ。あとは我が食レポをするだけじゃな」
「グルメ番組じゃないんだよ。それにお前の食レポって『美味いのじゃ!』しか言わないし」
「ま、まぁ、ハンバーグと言えば定番的な家庭料理。我にかかれば造作もないはずなのじゃ!」
「言ったなお前。調理手順、簡単に説明してみろ」
「う、うむ……確かひき肉と切った玉ねぎと調味料を混ぜてこねてパンパンと空気を抜いてフライパンで焼くだけなのじゃ!」
「はい罰。それじゃ美味しくできないし、何より石炭ができ上がる」
「なんじゃと!?」
「知識量が一香さんと同じなんだよな。まぁ、 今の俺がいる分、あの人みたいに火災報知器を鳴らさないだけまだマシか?」
「ふっ、勝ったのじゃ!」
「底辺同士の争いって醜っ」
「後で主に虐められたと翔馬に報告しておくのじゃ」
「言ってろ」
無駄なお喋りはここまでなのじゃ! 主が我に抜けてるところを教えてくれるそうなのじゃ!
「いいか。まず玉ねぎ自体を炒める。これした方が美味しいに決まってる」
「なるほどなのじゃ」
「あとハンバーグは焼くだけじゃ焦げる。中まで熱を通すために蓋をして蒸すのが正解だ」
「ほうほう」
そんなこんながありつつも、ハンバーグ作りは順調に進んで作れたのじゃ! キッチンがグチャグチャしておるのは幻覚なので無視するのじゃ!
「ふおぉぉぉ!」
「ふふ……はいケチャップ」
我は自ら焼いたハンバーグの乗ったお皿を掲げて喜びの声を表す。そんな我を主は子供でも見るかのような目つきで、口元を綻ばせながらケチャップを手渡してきおったわ。
「ふむ、どうしようかの」
「何が?」
「文字を書こうと思っての」
真っ先に思い浮かんだのは『主』じゃな。うむ、オムライスかチョコプレートか何かかな? と空は言いたげな表情をしておるの。
「決めたのじゃ。……『空』っと」
「いや俺かよ」
「我が主を食べることで、そろそろちゃんと力関係をはっきりさせようかと思っての事じゃ」
「お前が下で俺が上」
「逆じゃっっっ!」
アホみたいな会話じゃな! でも……不思議と心は晴れやななのじゃ。
「頂きます」
「頂きますなのじゃ! 熱っ!? 舌が焼けるのじゃぁぁぁぁ!?!?」
「お前が下で俺が上だったな」
こうして我は舌に甚大なダメージを負ったのじゃ。
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あなたの夢はエフフォーリアか、タイトルホルダーか。私の夢は、パンサラッサです。
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