9人の王〜F級探索者の俺、異世界の迷宮攻略中に仲間に裏切られ死にかけるがボス部屋に眠っていた元精霊王を名乗る銀髪幼女と契約し、元仲間へ復讐を果たしつつ契約した精霊たちの力を借りて最弱から最強へと至る〜
どこにでもいる小市民
序章
プロローグ
赤……いやピンクっぽい色の肉をしている。しかしあの
「エフィー、あれ倒せると思う?」
俺はそのワームを指さしながら、隣に現れたエフィーに尋ねる。
「
俺の問いに答えたのは、背中の半分が隠れるほど長い
エフィーは俺を主人と呼び、不満げに頬をぷく〜っと膨らませて反論する。
「分かってる分かってる。一応確認だって」
俺はエフィーの頭をポンポンと叩くように、少々乱暴ながらに撫でる。それでもエフィーは満足そうに顔を
「……それじゃあエフィー、行くよ」
「任されよ主人!」
エフィーはおとぎ話に出てくる妖精のように小さく体を変化させて、俺の胸ポケットに入り込む。
丁度こちらに仕掛けてくるワーム。体全体を唸らせる全身を使った攻撃だ。電車よりも早い速度で迫り来る巨体は、トラックを
そのワームの攻撃を、俺は軽く地を蹴り10メートルほどの空中まで飛び上がって避けた。
攻撃を回避して動き回るワームの背中に着地した俺は、そのまま持っていた短剣を大きく上に掲げて構える。
そのまま力を込め、短剣を縦に一閃。ワームの背中を真っ二つに斬り裂いた。薄汚れ、少し緑の混ざった黄土色の血が、噴水のように噴き出る。
「ほれみたことか、楽勝だったじゃろう? それもこれも、我がいるからこそじゃがな! は〜はっはっは!」
さきほどのように少女姿に戻ったエフィーが薄い胸を張りながら、ドヤ顔で俺を見てくる。身長差のせいでませた子供にしか見えないんだけど……。
「その通りだよ、ありがとうな……」
「ふにゃあ……。ま、全く、精霊王である我をこんなに気安く……」
俺は笑いながらエフィーの頭を撫でる。エフィーが俺のそばに来てその場に待機するのだ。これ以外の選択肢は無いだろう。
当のエフィーも口では文句を言いつつも、撫でられた頭を大事そうに両手で覆って照れていた。可愛い奴め。
「……F級探索者だった俺がこんな風に出来るのも、あの出来事があったからか……」
俺は区切りのついた仕事の休憩を取りながら、そんな事を呟き自分がF級探索者だった頃の日々を思い出す。
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