第165話 終幕
その日、自宅のリビングでケータがスマホの「出張サービス♡」のアイコンをタップした。
するとケータのスマホから光が溢れ……ずに、画面にベルの顔が映った。
「ケータさん、どーかしましたか?」
ビデオ通話かい!
「え?何で来ないの、ベル?」
サトコが素朴な疑問を発する。
「特に危険は感じなかったので」
ベルが当然とばかりにそう答えた。コイツ、やっぱり覗いてやがった!
「ベルに頼みがあったんだけど、どうしよーか?」
ケータがちょっと思案顔になる。
「大丈夫、言ってみてよ」
「私たちの手紙を両親に届けてほしいの」
サトコが画面を覗き込むようにベルに伝えた。
「なんだ、そんな事?手紙はどこにありますか?」
サトコが画面に映るように4通の手紙を見せる。その途端、サトコの手から手紙が消えた。
「え?」
サトコが思わず放心する。
「確かに承りました。責任持ってやっとくよ」
ベルが4通の手紙を見せながら「ニッ」と笑った。
「お願いね、ベル」
言いながらサトコが「フフフ」と笑う。
「名残惜しいけど、コレでアイコン消えちゃうからもう会えないね」
「出張してないから大丈夫。気にしなくていいよ」
「待てやコラーー!!」
私は思わず怒鳴りつけた。
「アンタ、まさかっっ」
「それじゃねー」
そこでプツンと画面が切れた。
あのガキ、これからも覗く気満々じゃねーか!サトコも「ちっ!」と舌打ちしてる。
どうやら私とサトコの作戦は、残念ながら失敗に終わったようだ。
「ご飯出来たよー」
そのときルーが、食卓に料理を並べながら私たちを呼んだ。とってもいい匂いが漂ってくる。
「おー、出来たかー」
ケータがソファーから立ち上がり、私とサトコに手を伸ばす。そのとき「グー」と私のお腹が元気に騒いだ。自分の顔が一気に上気したのが分かる。
ケータは「ニッ」と笑うと、私とサトコの手をとりグイッと引っ張り上げた。
「さ、食べよーぜ!」
「うん!」
私とサトコは揃って頷いた。
あー、お腹空いた!
~おわり~
ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双 さこゼロ @sakozero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます