転んでも立ち上がる

うみとそら

第0話

この国の人口は1億人。その中にひきこもりは、現在、500万人いる。

そして、その500万人のうちの1人が僕だった。 


今の仕事は、ショッピングモール内の片隅で占い師をやっている。

半年前に未経験からスタートしたのだが、最近は少しずつお客さんも増えてきた。


カランコロン。

「すいませーん」

金髪のロングヘアーで少しヤンチャそうな女子高生らしき人が恐る恐る入ってきた。

「いらっしゃいませ。どうぞおかけください」

その女子高生は僕のことを確認すると、何故か席には座らずに戸惑った様子をしていた。

店舗の外装も内装も明るめに設定してるけど、初見の人が来店するには少しハードルが高いかな?

「私はアユムと申します。本日は何を占いにきたのでしょうか?」

できるだけ優しい声で尋ねてみると、女子高生は顔がいきなり明るくなった。

僕の格好はゲームに存在するような紫色のローブを着ているので、少しでも良い印象を与るためにも声のトーンなどには気をつけている。

「はい!実はですね!」

ドンと持ってたカバンを机に置き、僕の対面に前傾姿勢のまま座った。

勢いすげえな・・・。

「彼氏についてなんです!」

帰れ!

顔には出さないが、カップルが成立している時点で勝ち組なのでここには来ないで欲しい。

「どうなさったのですか?」

仕事なので仕方なく聞く。

「今付き合って3ヶ月なんですが、最近態度が冷たいんです!」

「なるほど」

別れれば?

ちなみに、僕は高校時代に1度お付き合いをしたことがある。

しかも僕は告白された側なのだ。

告白された帰り、彼女に何で告白してくれたのか詳しく聞いたところ、罰ゲームとのことだった。

なので、付き合ったのは1時間程度だった。

それが最初で最後の彼女なのだった。

「最初は1日に何回もメッセージのやりとりをしてたのに、今はメッセージ送ってもスタンプしか返ってこないです!」

「なるほど」

別れれば?


そもそもの話なんだが、この“世界”の人が彼氏彼女がいるのっておかしいだろ!

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