何から話すべきだろう?
何の為に?
かつて友と呼んだ彼らのことを……。
かつて刃を交えた彼らのことを……。
かつて仲間だった者達のことを……。
こんな形でしか、残す術を持たないのだ。
どれだけの目に触れるかわからない、こんな形で……。
いや、誰の目にも触れることなく消えてしまえばいいと思っている。
そして……万人の目に触れればいいと思っている。
相反する二つの気持ちに偽りはない。
もう傍観者にすらなれないのだから……。
そもそもの始まりはなんだったのだろう?
思い出せる古い記憶から紡いでいく事にしよう。
古い記憶から、ここに捨てていく事にしよう。
この記憶を……この記録を……。
彼女の事を記していこう。
魔女と呼ばれ、恐れられた彼女の事を……。
血にまみれた心優しい彼女の事を……。
傍観者だった僕が紡ぎ、敵対した僕が感じた全てを……。
協力者であり、救済者であった彼女の事を……。
そして、引き寄せられるように、抗う術も持たず消えていった者達の事を……。
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