第39話 たまには我慢してみた
キスはとても好きだ。
甘く、柔らかい感触に、俺の心は溶かされて行く。
けど、ある時、ふと思った。
「あまりやり過ぎると、マンネリ化しちゃうかもしれない……」
俺自身は、可奈子さんのことが大好きだから、いくらキスしても良いけど。
可奈子さんはもしかしたら、その内飽きてしまうかもしれない。
優しい可奈子さんはそんなことないと言って俺を甘やかしてくれるかもしれないけど。
俺も男として、少しずつ変化を加え、可奈子さんを喜ばせてあげたい。
「ねえ、可奈子さん」
ある休日の朝。
俺は一つの提案をする。
「なぁに、冬馬くん?」
「今日さ、1日キスを禁止にしようか」
「えっ? いきなりどうしたの?」
「いや、ちょっと……キス我慢ゲームをしたいなって」
「あぁ、なるほど……ゲームね」
「そう、これはゲームだよ。たまには、別の刺激が欲しいでしょ?」
「うん、そうだね……分かった、やってみよう」
「もしかして、その代わりにおっぱいはいっぱい揉むの?」
「いや、それは……それも控えておくよ。何ていうか、プチ禁欲みたいな?」
「そっか……分かったわ。私、ちゃんと我慢する」
「じゃあ、今からスタートということで」
「うん」
それから、2人でいつもどおり、穏やかな朝食タイムを済ませた。
「冬馬くん、今日はお出かけする?」
「うん、そうだね……」
と言いかけて、俺はふと思い至る。
「いや、あえて家にいよう」
「えっ、どうして?」
「外に出ると、エッチ以外の娯楽に触れるし。そもそも、外だと中々キスできないシチュだから。その点、家にいたら……ね?」
「と、冬馬くん……やっぱり、ドSだね」
「いやいや、ソフトでしょ」
「分かった。我慢するよ」
可奈子さんはいつもどおり、家事に勤しむ。
俺はソファーに座って、のんびりとしていた。
けど、立ち上がる。
「可奈子さん、何か手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ、洗濯物をたたんでくれる?」
「了解」
俺は可奈子さんの下に行くと、乾いた洗濯物を受け取る。
「はい」
「うん」
その時、ふっとお互いに距離が近くなった。
普段なら、そのままキスをしている。
ちゅっ、と軽くだけど。
でも、今はそれさえも禁止事項だ。
お互いの鼻先を意識してしまう。
「……は、鼻チューもダメだよね?」
「ダ、ダメだよ。可奈子さん、もしかしてもう、ギブアップ寸前なの?」
「ち、違うもん……ほら、早くたたんで」
「うん」
俺は洗濯物をたたむ。
「ふぅ、さてと……」
可奈子さんが腰を折り曲げると、あろうことか俺の方にお尻を突き出して来た。
えっ、これはわざと? いや、まさか……
「……ちらっ」
わざとだ。
このお姉さん、わざとやっているよ。
え、さっきの俺の煽りで、こんなことしているの?
可奈子さんって意外と……どちらにせよ、可愛いけど。
何か、お尻をフリフリしているし。
ぶっちゃけ、女性のズボンルックってツボなんだよなぁ。
可奈子さんはお尻も大きいから。
すごい迫力だ。
けど、それでいて上品さは決して損なわない。
俺はその魅惑のお尻から目を背けた。
真面目に洗濯物をたたむ。
「ふぅ~、やっぱり、私も一緒にたたんだ方が早いかしら」
可奈子さんは俺の前に来ると、正座をして前かがみになる。
案の定、豊かな胸の谷間が見えた。
あの深みに吸い込まれたら、一瞬だ。
俺はまた目を逸らす。
可奈子さんが、小さく頬を膨らませた。
「ねえ、冬馬くん」
「え、何?」
「これ、私の服だけど、たたんでくれる?」
「あ、うん。別に良いけど……」
受け取って、俺はすぐに気が付く。
可奈子さんの服はみんな……胸の所だけすごい伸びている。
ああ、そっか。可奈子さん、おっぱいはバカみたいにデカいけど、ウエストはちゃんと細いから。
ちょうど良いサイズが無いんだ。
胸に合わせると、全体的にダルッとしちゃうし。
だから、無理やり自分のサイズに合わせているんだ。
本当に恐ろしいおっぱいだ。
将来、俺がお金持ちになったら、普段着もオーダーメイドで作ってあげたいかも。
いや、それはさすがにやり過ぎか。
「可奈子さん、ごめんね」
「えっ?」
「可奈子さんがここまで胸が大きくなったのって、俺のせいだよね?」
「まあ、そうかな……」
「だから、こんな苦労をかけて……うぅ。本当はもっと可愛い服を自由に選びたいよね」
「と、冬馬くん、そんな大げさな」
「あ、そうだ。ベルトで腰を締めるタイプの服なら良いんじゃない? それなら、胸に合わせて全体的にふわっとしつつ、しっかりとウエストを締めるし」
我ながら、ナイスアイディアだと思った。
「あ、それなら持っているよ」
「え、じゃあそれを着てよ」
「うん、でも……ちょっと」
「何か問題でも?」
「いや、あの……ちょっと待っていて」
可奈子さんは2階に上がって行く。
俺はきょとんとしながら、彼女を待った。
やがて、ゆっくりと階段を下りて来る。
「こ、これなんだけど……」
瞬間、俺は衝撃を受けた。
そして、己の
清楚でふわっとしながら、腰をベルトで締めるその服。
ハッキリ言って、破壊力が半端ない。
上品でおしとやかながら、しっかりと可奈子さんの巨乳、いや爆乳を強調させる。
清楚爆乳な可奈子さんにぴったりすぎて、もう相乗効果がヤバい。
こんなの、もう兵器級の破壊力だ。
街を歩く男たちがみんな、鼻血を噴いて倒れてもおかしくない。
ふんわり暴力の極みだ。
「……す、すご」
「は、恥ずかしい」
「いや、マジで可愛いよ、可奈子さん」
「じゃ、じゃあ……今度から、これ着ようかな?」
「うっ……他の奴らに見られるのは癪だけど……まあ、良いか」
俺は立ち上がる。
「可奈子さん、俺の負けだよ」
「えっ?」
俺は彼女を抱き締めた。
それから、キスをする。
「んッ……」
数秒後、可奈子さんの顔がトロけた。
「……もっと、しても良いかな?」
「……うん」
その後、俺は可奈子さんにマッチし過ぎた素敵な洋服をきれいに脱がせて丁寧にたたむと。
可奈子さん自体には少し乱暴をしてしまった。
あまりにも興奮してしまったから。
だから、終わった後に。
「ドS冬馬くん……バカ」
「ごめんなさい……」
可奈子さんに叱られてしまった。
「今度から、自重するよ」
「べ、別に少しくらいなら、また乱暴にしても良いけど……お尻叩かれるの、ちょっと良かったし」
「可奈子さん、ドMじゃないか」
「ち、違うもん、バカ!」
まあ、おかしな扉を開けてしまわない程度で、そういった趣向も少し楽しもうと思った。
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