第23話 エロ目線を浴びる可奈子さん

 夏休み。


 今までは、友達と面白おかしく過ごしていた。


 けど、今年は一味違う。


「荷物はこれで良し……と」


 俺は車のトランクを閉めて言う。


「冬馬くん、荷物の積み込みありがとうね」


 声がして振り向く。


「あっ……」


 純白のワンピースを纏い、いわゆるお嬢様帽子をかぶる彼女。


 可奈子さんが、そこに佇んでいた。


「……死ぬほど可愛い」


「か、かわっ……な、何を言っているの? おばさんのくせに、こんな若い子の服を着ちゃって……」


「だから、何度も言っているけど。可奈子さんは、いつまでもきれいなお姉さんだよ」


「……ありがと」


 可奈子さんは照れて視線を外しながら、長い髪を耳にかけた。


「じゃあ、行きましょ?」


「うん」


 今日と言う日を、お互いに心待ちにしていた。


 可奈子さんと2人きりで、夏の温泉デート。


 憧れの個室風呂付きのちょっとお高め旅館へ、いざレッツゴー。


「可奈子さん、運転よろしくお願いします」


「任せて。可奈子さんがブイブイ言わせちゃうわよ♪」


「いや、安全運転でお願いします」


「うふふ」


 そして、車は走り出す。


 俺はふと、運転席の可奈子さんを見た。


 やっぱり、可愛いしきれいだな……あっ。


 シートベルトによって、清楚なワンピースの胸元が締め付け強調されて……む、胸が。


 これは……パ◯スラってやつか。


 目の当たりにすると、すごい破壊力だな。


 清楚な服に包まれたそれって言うのが、また余計にエッチだし。


 可奈子さんって、本当におっぱいが大きいんだな。


 そのおっぱいを、俺は何度も弄んで……いや、やめておこう。


「可奈子さん、焦らないで休憩しながら行こうね。何なら、俺が肩揉みとかしてあげるし」


「ありがとう、冬馬くん。じゃあついでに、おっぱいも揉んでもらおうかしら」


「えっ」


「ふふ」


 可奈子さんは流し目で俺を見る。


 こ、これは……もしや、バレていた?


 可奈子さんの極上の清楚巨乳パ◯スラを拝んでいたことを。


 指摘しないのは、可奈子さんの優しさ。


 でも、ちゃんと気付いているわよと言う、大人の示し方。


 可奈子さん、あなたはやっぱり……最高の彼女……いや、嫁です。




      ◇




 途中、道の駅に寄った。


「ここでお昼ご飯を食べましょ?」


「うん、お腹ペコペコだよ」


「うふふ、元気な冬馬くんね」


 フードコートは、人で賑わっていた。


「えーと、どれにしようかしら……」


 可奈子さんは券売機の前で少し悩む。


 そんな横顔も可愛いなと見つめていた時。


「うわ、めっちゃ美人」


「本当だ、可愛い」


「乳もデカくね?」


 そんな囁き声が聞こえて来て、少しムッとしてしまう。


 いや、仕方ない。


 可奈子さんは理想的な巨乳美女なお姉さんなんだから。


 みんなが憧れるのは無理もない話だ。


「私はこの山菜そばにしよっと。冬馬くんは?」


「えっ? あ、俺は……ぶっかけうどんで」


「あ、ぶっかけかぁ。そっちの方が涼しいかもね」


「いや、はは……」


「でも、こっちで良いかな。食券を出しましょう」


「うん」


 注文を待つ間、先に席を取った。


「ふぅ……涼しいね」


 帽子を脱いだ可奈子さんは言う。


 その所作の1つ1つが上品で美しい。


「可奈子さん、ゆっくり休んでよ。運転おつかれさま」


「うふふ、楽しいから平気よ。となりの冬馬くんをいじめたりして」


「ひ、ひどいこと言うなぁ」


「ふふふ」


 可奈子さんは少し姿勢を崩して前のめりになる。


 それによって、豊かなバストがテーブルに乗っかった。


 あれだけ大きいと、きっとすごく重いはずなのに。


 ふわりと、軽そうに思えた。


 まあ、実際に下から持ち上げた時、重量感はすごかった訳だけど。


 って、俺のバカ、公共の場で変なことを考えるな。


「……乳デケー」


「……弟でもうらやましいわ~」


 ムッ。


 ちくしょう、また可奈子さんの胸を見やがって。


 しかも、俺のことを弟だって?


 まあ……無理もない話か。


 傍から見たら、仲の良い姉弟に思われても仕方がない。


「78、79番のお客さま~!」


「あ、呼ばれたね」


「うん」


 俺たちは注文の品を受け取って、テーブルに戻った。


「じゃあ、いただいます」


「いただきます」


 可奈子さんは髪を耳にかけると、ズルズルとそばをすする。


「……あのそばになりてー」


 おい、誰だ?


 いま言ったやつは?


 ていうか、みんな可奈子さんのことをエロい目で見過ぎじゃないか?


 クソ、俺だけの可奈子さんなのに……


「……冬馬くん」


「えっ?」


「私はあなたしか見てないわ」


 そう言って、優しく微笑む。


 俺は束の間で、魂が浄化された気持ちだった。


「……後でいっぱい、いっぱい、2人きりで楽しもうね」


「……は、はい」


 思わずかしこまってしまう。


 それから、俺は黙って猛烈な勢いでぶっかけうどんをすすった。


 可奈子さんは最後まで上品に可愛らしく、そばを食べ終えた。


「じゃあ、また2人きりの空間に戻りましょうか」


「イ、イエス」


「何で英語なの?」


「わ、分からないけど……あっ、お菓子でも買う?」


「そんなに食べたら太っちゃうよ?」


「大丈夫だよ。可奈子さんが太るのは胸だけ……あっ」


「……変態くん」


「うっ……ごめんなさい」


「ふふ、冗談よ。それよりも、先を急ぎましょう?」


「はい」


「私だって、早く冬馬くんと2人きりになりたいんだから……ね?」


 耳元で囁かれて、俺はひどくドキリとした。


「……ありがとうございます」


「何でさっきから合間に敬語なの?」


「可奈子さんのせいだよ……」


「じゃあ、後でいっぱい、仕返ししても良いわよ?」


「マ、マジで?」


「目の色が変わっているし。やっぱり、変態くんね」


「もう、何でも良いから。早く行こうよ」


 楽しい楽しい、温泉デートは、もう目の前だ。







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