家政婦の美人お姉さんが俺だけの専属家政婦になってくれた。それってもう嫁ですよね。
三葉 空
第1話 家政婦さんは巨乳美女
桜の季節は好きだ。
俺は名前に冬の文字が入っているけど。
この時期になると、いつも心が躍る。
「じゃあ、父さん、母さん、行って来ます」
仏壇に手を合わせると、俺は立ち上がった。
玄関を開け放つと、柔らかな春の陽光が照らしてくれる。
今日から高校2年生だ。
まあ、高校入学の時ほどドキドキは無いけど。
それでも、ワクワクする。
「さあ、行くぞ」
俺は爽やかな春風に乗ってアスファルトを歩き始めた。
◇
「うぃーっす、冬馬」
新しいクラスの席に着くと、聞きなれた声が耳をくすぐる。
「おっ、
「ミッチーと呼べと何度も言っているだろ?」
「そんなツラじゃないだろ」
「何だとぉ~? 自分の顔がちょっとカッコイイからって調子に乗るな」
「別に乗ってないから」
また親友のこいつと同じクラスであまり新鮮味はないけど。
まあ、ホッとする安心感はあるかな。
「あ、やった~。月城くんと同じクラスだぁ」
「ラッキ~」
「
と、女子の囁き声が聞えて来た。
「ケッ、このジゴロ野郎め」
「何でだよ。俺は何もしてないから」
「そうだよな、お前はモテるくせにあまりガツガツ行かないもんな。俺がお前だったら、今頃ヤリチンだぜ?」
「最低だな。もう親友やめて良いか?」
「ごめんってば!」
と、道三郎が俺にすがりつく。
「お前と親友だと、比べられることもあるけど、女子と話すきっかけになるんだ。そのおかげで、俺は春休みに気になっていた女子とデートまでこぎつけたんだ」
「へぇ~。で、その結果は?」
「……聞くな」
「ドンマイ」
俺は笑って道三郎の背中を叩いた。
◇
両親は俺が小学生の頃、交通事故で亡くなった。
当時はもちろん悲しんだ。まだ幼かったから。
最初は、親戚の家に引き取られる予定だった。
けど、俺は父さんと母さんと一緒に暮らしたこの家を離れたくなかった。
だから、今までがんばって一人で生きて来た。
両親が残してくれた遺産があるから、生活費には困っていない。
掃除洗濯などの家事もさすがに慣れたもので、同年代の女子以上には出来るだろう。
料理もちゃんと自炊するし。
そう、だから俺の人生はちゃんと楽しい。
「いただきます」
俺は一人、夕飯を食べる。
今日は親子丼を作ってみた。
ふわふわの卵とぷりぷりの鶏肉が絶妙にマッチしている。
我ながら上出来だ。
「うん、美味い」
一人で食べるのはちょっと寂しいけど、慣れているから。
むしろ気楽でいい。
けど……
「……たまには、人が作ってくれた料理を食べたいなぁ」
こういう時、まだ母さんが生きていた頃のことを思い出す。
父さんも一緒に、3人で温かい食卓を囲んだ。
と、いけない。
感傷的になっても仕方のないことだ。
「ごちそうさまでした」
俺はちゃちゃっと洗い物を済ませる。
風呂は先に入っていたので、後は適当にくつろいで寝るだけだ。
ソファーに座ってスマホをいじる。
「……んっ?」
俺は何気なくネットサーフィンをしていたのだけど。
ふと、ある広告が目に留まった。
「家政婦か……」
そういえば、ドラマとかでも結構話題になったよな。
家政婦……何か人の良いおばちゃんのイメージだけど。
「ちょっと、頼んでみようかな」
今まで一人で頑張って来たんだ。
たまには贅沢をしても良いだろう。
「3時間で1万円か……ちょっと高いけど……父さん、母さん、ごめん」
俺は天国の2人に片手で祈りを捧げ、ネットから家政婦サービスを申し込んだ。
◇
休日。
俺は朝から少しソワソワしていた。
掃除機でガーガーとほこりを吸い取る。
「ていうか、これから家政婦さんが来るのに、自分でやっちゃうとか……まあでも、メインは美味いメシを作ってもらうことだから。良いか」
きっと、親しみやすいおばちゃんが来るんだろうけど。
それでも、何だか緊張してしまう。
その時、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「お、来たかな」
俺は立ち上がると、玄関ドアに向かう。
ガチャリとドアを開けた。
「あ、こんにちは。家政婦サービスの者です」
「あ、これはどうも……」
俺は硬直した。
そこに立っていたのは、人の良さそうなおばちゃん……ではない。
スラッと背丈が高く、長い髪はしっとりしていて、全体的に落ち着いた雰囲気。
顔は非常に整っているし、スタイルも……何かすごい。
清楚ながらも豊かなバストの主張が激しい。
つまりは、すごく巨乳で美人なお姉さんがいた。
「私、
彼女はとても素敵な笑顔でそう言う。
一方、俺はしばらく開いた口が塞がらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます