第20話 親友の存在感
あれから4日が経った。最初の2日、つまり授業があった日なのだが、俺は全然授業に集中していなかった。エールから全く元気、やる気がないだのあーだこーだ言われてからようやく授業に身が入るくらいにはずっとアレクスとグランツェのことばかり心配していた。
その後もずっと、ベンやルージュ、レーネにも「アレクスもグランもものすごく強いから大丈夫よ。」と言われたが、それでも俺の不安が収まることはなかった。
そして3、4日目はレーネと外で気分転換にと遊ぶ事になったのだが、やはり俺に元気が戻ることはなかった。
「ローラン!さっさと元気を出して。」
「俺はずっと元気だよ。」
「そんな嘘はすぐにバレますー。そういう嘘言ってないで、、、、」
そうレーネは俺に長々と説教した。正直かなりレーネには助けられている。特に授業ではあんなにも内気なレーネが俺を頑張って庇ってくれたりフォローしてくれたりした。
マジで、全部なんとかなったらお礼しないとな、、
そう思いながらレーネの説教を聞き流して、その後も2人で遊んで帰った。
その帰り際にレーネが俺に自分の思っていたことを口にした。
「なんでローランはそんなにもローランパパとローランママのことが心配なの?心配なのはわかるけど、そこまで重く考えなくていいじゃん。2人とも強いんでしょ?だったらなにも心配することないじゃん。絶対大丈夫だよ。なんかわかんないけど全てうまくいくよ。」
改めてレーネに諭された瞬間、俺の心の中は少しだけ晴れた。
たしかにアレクスとグランツェがその辺の敵を相手に負けるはずはないか、、なんで俺は今までこんなにも塞ぎ込んでいたんだろう。
最初こそ侮辱されたと思って逆ギレしようと思ったが冷静に考えると確かにレーネの言ってることの方が正しいように思えてくる。
そうして、俺の心の中は少しだけ晴れたが俺には言っておくべき言葉があった。
「なぁ、レーネ。」
「なに?」
「なんかわかんないけど全てうまくいくってなに?馬鹿にしてんのか?もしそれでうまくいかなかったらどうする。俺のいうことでもなんでも聞くか。命の責任とれんのか?言ってる意味わかってるよな。わかるよな?」
そう俺が声のトーンを3トーンくらい下げて質問責めにするとレーネは今にも泣きそうな顔になった。
あっ、ヤッベ!やりすぎた、、、そう思った俺はすぐさま弁解した。
「あっ、いや、あの、これは、そのー、なんて言いますか、、そう、冗談!冗談だよ。確かにタチの悪さはあれだったけどほんとね。なんていうかね、、そう、わかって欲しいんだよ?けど、どう言ったらいいかなぁ、なんてそんなことを考えてたら勝手に口が出たと言いますか。そうだよ。これは全部俺の口が悪い!」
俺は途中からというか、もう最初から自分でもなにを言っているのかわからなかった。
自分でも言いたいことがわからないとか相当だよな、、、
そう弁解すると次はレーネが俺に向けて言葉を発してきた。
「か弱い女の子がずっと頑張って男の子のためにやってきてあげたっていうのにその言い分はなにかな?自分のさっき言ったこと覚えているよね?責任とれんのかって言ったよね。じゃあ私からも言うけど、今この状況の責任をローランはどうやって取るつもりなのかな?知らぬ存ぜぬでは許さないからね。さて、ではもう一度ローランの言い分を聞きたいな〜。」
先程の俺と同じように3トーンくらい下げて言葉を返された。
マジでレーネ怖い。コイツは敵に回したらダメなヤツだ。てか、怒るとき人格変わってね?
そうしてレーネに対する弁解を俺は考え始めたのだが、全く浮かばない!ダメだ!もう俺はおしまいだ、、、
そう思っていると急にレーネが笑い出した。
「ぷっ、、あははは!なんで必死に考えてんのよローランってば。嘘に決まってるのに。
かなり悩んでいる顔をしていたけどローランどうしたの?頭でも悪くなったんじゃない?それに、自分から始めといてそれに負けるなんて、、、あははははは。」
「うっ、うるさい。今そんなことは関係ない。というかなんでわかったんだよ?」
そう俺が問いただすとレーネは目に指さした。
「オーラでわかるって話何回もしたじゃない。それにローランの嘘をいっつも見破ってるのに今更そんなこと聞かれても。」
完全に俺はオーラのことを忘れていた。
くそっ、自分から振っといて負けるなんて本当に恥ずかしい。
「というか、ローランやっと元気出したわね。全くだよ、、、私はいいけど他の人にまで迷惑はかけたらダメだからね。」
「はい。すいませんでした。」
そういうとレーネは俺にまたも意地の悪いことを言ってきた。
「あれー?すいませんだったかな?」
クソッ、初対面であった時のルージュに似てきやがったな、コイツ。ちゃんと遺伝子引き継いでるな。
「うるさいっ、、、でも、ありがとう、レーネ。」
「どういたしまして。それじゃあ帰ろっか。」
「うん。」
そう言って俺たちは家に帰った。
そして、家に帰ってから俺はベンとルージュにこの3日間の謝罪と感謝を伝えた。
ルージュには「全く、、手のかかる子ね。」と言われ、ベンには「もう少し子どもになる勉強をしたらどうだ?」と言われた。
その後みんなに笑われて俺は気が晴れた。
そしてその後、ずっと楽しくヴェル家で過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます