第19.5話 緊急事態

「やってしまった、、、」


 俺はそう思わずにはいられなかった。

え?何がまずかったって?勝負に勝ってしまったことだよ。

 何故だ!何故俺は勝負に勝ってしまった、、、?グランツェがいたからか?レーネのため?それとも俺が意外と負けず嫌いだったから?


 いいや、、そんなのはどうでもいい。今考えないといけないのはこの後どうするか。

 だけど、その案が全く思い浮かばない!


「これは、今度から手を抜いているとバレた時、絶対面倒そうになるな、、、本当にどうしよう。」


 俺は家に帰ってきて風呂や食事を済ませた後に自室でずっとそんなことを考えていた。


「俺のモブ生活は終わりか?終わりなのか、、、いや、諦めるにはまだ早い!前世でもやっていたのだし、今回だってできるはず。」


俺はそう自分に言い聞かせながらずっと読書をしていた。


 1時間くらい読んでいるとドンドンと一階で足音が響いた。気になったので降りてくるとアレクスとグランツェが装備を整えて武器を身につけて家を出ようとしていた。


「え?どうしたのその格好。今から何か用でもあるの?」


 そう聞くと、アレクスもグランツェも何かを隠したそうにしながら俺の疑問に答えた。


「4日後に戦争があるんだ。」

「え!せ、戦争。なんで急に?」

「それはだな、、、、」


 そしてアレクスは長々と説明してくれた。


ヴァルカン王国の近くには3カ国の国があるそうだ。リザン邦国、フレド国、サピン王国の3つだ。

 

 そして、今回の戦争の相手はサピン王国らしい。ここ数年で経済力、軍事力と共に力を一気に伸ばしていたところ国王が逝去し、国王が変わったと同時に突如宣戦布告してきたそうだ。

 この4カ国では不可侵条約が結ばれていたらしいのだが、それを無視してきたとのこと。


 そういう時の対処として残りの国が合同でその国に対して対処するそうなのだが、サピン王国の軍事力は強いため、3カ国合わせて少し上回るくらいだそうだ。


 そのため、ヴァルカン王国との関わりがあるアレクスに徴兵令が出されたらしい。アレクスとの繋がりでグランツェとルナも徴兵されたとの事。

  

 ふざけるな!この世界は平和ではなかったのか、、、いや、落ち着け、、いつの時代でもこういったことはあるものだ、、


「事情はわかったけど、お父さんもお母さんも絶対に無理しないでね。約束して。」


そういうと少し間を開けてから2人とも約束をしてくれた。


 アレクスとグランツェがヴァルカン王国に向かった後、俺とガーベラはレーネの家にとりあえず引き取られた。


「こんな感じで家に泊めてもらってすいません。」

そう俺が言うとルージュが少しだけ怒った表情を見せた。


「ローラン君。泊めてもらうときはすいませんじゃないでしょう。それに家はいつだってローラン君を歓迎するわよ。ローラン君はアレクスさんとグランが何事もないように祈っているだけでいいの。」


ルージュはそう言ってくれた。


「は、はい。泊めてもらってありがとうございます。」

「うん、よろしい。」


そう言って少しの間ヴェル家に泊めてもらう事になった。



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