チワワの日常
米元言美
食事
食事を始めようと,テーブルを囲み,座って,箸を動かし始めると,必ず,愛犬のちょこちゃんがやって来る。
最初は,静かに私たちの食べる様子を伺うが,途中から目の色を変えて,抗議活動を始めるのだ。顔を見ても,いつもの穏やかな表情ではなく,怒りと怨みに満ちた目付きで,こちらを見る。どこか傷ついたようにさえ,見える。
[どうして,私だけテーブルに座らせてもらえないの!?どうして,私の分がないの!?
私は,頼まれなくても,毎日一生懸命警備活動をして,この家を守っているというのに,この扱いは,何だ!?]
無視しても,諦めて大人しくなるどころか,怒りがますますエスカレートし,声がデカくなっていくばかりだから,仕方なく,冷蔵庫からちょこちゃんのおやつを出し,ちょこちゃんにやる。
[あ,来た!来た!おやつだ!やった!]
ちょこちゃんは,憤りを一瞬忘れ,すごい勢いで,大好きなおやつに喰らい付く。
しかし,おやつを食べてくれたと思いきや,またすぐに吠え始める。
[ちょっと待って!私をそんなもんで騙せると思ってるか!?そっちがご馳走を食べているというのに!私がこれで我慢をしようと!?あまりだ!]
すると,いつも,夫がちょこちゃんを抱き上げて,膝に乗せてあげる。超小型犬でも,膝に乗せたまま食べるのは,難しい。でも,こうするしかないのだ。
だって,ちょこちゃんは,知らないんだ,自分は犬だっていうことを。
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