第4話 課題曲~本気になった少年たち

次の日の放課後、女装するメンバーが集められ、レクリエーション担当の

先生から課題曲が発表された。A〇B〇8の「ヘ〇〇ロー〇ー〇〇ン」だった。

「なんだベタだな。」

「ファンが見たら俺ら殺されるかもな。」

教室がザワザワしだした。


『静かに!せっかくだし人気投票やることにしたから。旅館の人にも投票してもらうからな。1位取った奴は夏休みの宿題免除な』


「マジか?」

「審査やらん言うたやん。」

「でも夏休みの宿題免除はいいな。」

またザワザワしだした。


『静かに!じゃあ各自、振付け覚えとくようにな。前も言ったけど、衣装は女子から借りる夏服な。着崩すなよ。ヅラかぶったり小物付けてもいいけど、予算は5千円まで。超えてそうな奴は1位取っても宿題ありな。特に足立、お前んち美容院だったな?

自分だけやり過ぎんなよ。あと分からん奴がいたら教えてやれ。』


「はい」(何を?俺だってなんもわからんつーの)と言いたくなったが、


その先生は、俺が入ってる運動部の顧問だったので、素直に返事をしておいた。


『くれぐれもレクリエーションの内容は秘密で。もちろん投票と宿題免除の話もな。もし事前にお前ら以外で知ってるやつがいたら、1位取っても宿題免除はなしな。じゃあ解散。』


解散後、みんなの目の色が変わったようだった。俺の通う私立中学の宿題は普段から多いのだ。人数から考えて1位になる確率は低くはない。だが強敵揃いだ。

なぜか変な見る目だけはある先生が選んだメンバーは、どこかしら特徴のあるヤツ

ばかりだった。


「え?俺もなのか・・・」


そのあと俺は部活をやって、女装メンバーに選ばれていない部活のツレと

修学旅行の話とかしながら帰った。

帰り道の公園、もうとっくに葉桜だったが、初夏の風が火照った顔に心地良かった。





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