第2話 準備をはじめた少年たち

さて、やると決まったからには他の誰よりも可愛く変身してやろう。

別に審査があるわけではないが。

こんなこと思ってるのは俺以外にもいるだろうか?いるよな?


衣装は女子生徒の夏服を借りることになっている。冬服は修学旅行で使うからな。

衣装の条件はみな同じだ。

どこで差をつけるかだが、幸いにして?家が美容院なので母親に頼めば

いけるんじゃないか。少しズルい気もするが、これは大きなアドバンテージだ。


物心ついた時から、家の仕事が俺にはなんかハズくてイヤだったが、今は感謝だ。

この際、利用できるものは利用させてもらおう。小遣い使いたくないし。


俺だけズルいと思われたくないので、他の女装メンバーが相談に来たら

話くらいは聞いてやろう。

家業も知ってて遊びにも来てるようなツレは今回のメンバーに選ばれていないが。


まずは髪だ。

今の髪の長さでいけるヤツもいるが、俺は家業への反発?か

今までずっと丸刈りだったので、カツラを被る事にする。


あまり派手にすると自分の中のイメージでは可愛くならないので、

濃いめの茶色のロングにした。

つながっているほど濃い眉毛を隠すため、前髪を丹念にキメる。


テーマというか、モチーフはどうしよう?

猫は好きだし、それでいこう。

不本意ながら、人から猫っぽい、とよく言われるし。


自分でいうのもアレだが、俺は二重まぶたで目が大きい。,

黒目も大きくてクリっとしていて、絵に描いたようなアーモンドアイだ。

まつ毛も長くて密度もビッシリ生えているので、つけまつ毛は要らないだろう。

よく目にまつ毛が入って痛いときがある。

確かまつ毛をはさむやつがあったような気がするから、使わせてもらおう。


実はこんな自分の目はずっと嫌いだった。

こんな目だとナメられてケンカになる事も多かったのだが、今はこの目に感謝だ。


あとはネコ耳、鈴が付いた黒いチョーカーでも用意しよう。






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