令嬢はされるがままに……

ニート

第1話

 いつも遊びにきている女友達が「最近この近くに回転寿司ができたのよ、新聞に広告はいってたでしょう」と話しを始めました。

私の所は新聞を取っていないので、あまり感心もなかったのですが女友達は「それはすごい店でね、前中古車の販売店だった後にできたから駐車場が広くてね100台くらい入れるのよ、店も体育館みたいに広くてね、まるで工場みたいなの」と話しが止まりませんでした。

結局私は旦那と一緒に女友達の夫婦と次の金曜の夜に回転寿司に行くことになりました。

当日車で女友達の夫婦が迎えに来ると、近くだからと車が走り始めました。

しかし、いつまでたっても回転寿司に着く様子はありませんでした。

私が気になって女友達に聞くと「この後高速に乗って少し走ればすぐなのよ」と言われました。

どうも普段車に乗っていると、「すぐ近く」という言葉の意味がちょっと普通とはずれてくるらしいのに私はようやく気が付きました。

車が高速に乗ると確かに20分程度でお目当ての回転寿司につきました。

しかし、駐車場は車でいっぱいでとても入れそうにありませんでした。

「だいじょうぶ、すぐ空くから」と女友達はまったく気にもしていませんでした。

確かに駐車場からは、車がどんどん出て行ってすぐに空きができました。

しかし、店に入ると入り口には大変な行列ができていました。

店員に案内されて列にならぶと、「今でしたら一時間待ちです」と言われました。

女友達は「なにいってんのよ、この間は一時間半待ちだったのよ、ディズニーランドで並んでるのより全然ましよね」と言って気にかけてもいない様子でした。

私の旦那は何か言い足そうな気配でしたが、私の手前もあって黙っていてくれました。

ようやく私達の番が来て、席に案内されて私達はお腹いっぱい回転寿司を食べました。

1時間ほどしてようやく私達は店を出ましたが、その頃にはもう客もかなり少なくなっていて、駐車場もがら空きでした。私達はまた高速に乗って逆の道をたどって帰る事になりました。

 まっすぐ家に戻る前に、この間出来たばかりのファミリーレストランに寄って一休みすることになりました。

旦那は今日は疲れたからと言ってビールを頼みました。

女友達の旦那も、ビールを頼みましたが家ももうすぐ近くなので大丈夫だろうと思いました。

私達はビールを飲み終わると店を出ました。

もうすぐ、角を曲がれば私のマンションだという道で、急に自転車が飛び出してきました。

二人乗りの自転車は、車にはわずかに当たった程度でしたが、勢いよく横に倒れました。

すぐに運転していた男の子が起きあがって自転車を起こそうとしましたが、様子が変でした。

後ろの席に二人乗りしていた女の子が立ち上がれませんでした。

あわてて駆け寄ると、顔をゆがめて痛がっていました。

どうも、倒れた拍子にどこか怪我をしたようてした。

旦那が慌てて救急車を呼ぶと、しばらくしてサイレンの音がしてきました。

近所の人が数人、私達の近くで様子をうかがっていました。

救急車に女の子が乗り込むと、男の子と私が一緒についていく事にしました。

近くの病院の救急入り口から運び込まれるとすぐにレントゲンを撮りました。

私達は、担当の医者に呼ばれて説明を受けました。

自転車が倒れた拍子に、足を突いたのが悪かったらしくて、左足が骨折しているそうでした。

女の子はすぐに手当を受けて病室に運ばれました。私は旦那に事情を連絡しましたが、警察は呼ばないことにしたと言っていました。

なんでも女友達の旦那が、今度友達とスキーに行くことになっていて、免停になると困るからと言っているそうでした。

飲酒運転だとすぐ免停だから、それだったら治療費払ったほうが全然いいからと女友達の旦那が言っているそうでした。

私はそうゆう問題ではないと思いましたが、「治療費は全部払いますから」と二人に言うと、二人とも警察に届けないことには同意してくれました。

私はそれだけでは申し訳ないと思って「ほかになにか出来ることあったら行って下さいね」と言ってみました。

もしかして困った事でもお願いされるかもしれないと思っていましたが、「別に何もありません」と言われてほっとしました。

翌日夕方買い物に行こうとすると、ドアのベルがなって人相の悪い二人組の男性が立っていました。

二人は昨日事故に遭ったお嬢さんの代理だと名乗り「モデルの仕事が入ってたんだがね、それが昨日の事故でだめになったんだ、なにしろモデルには足は命だからね、もうこれでモデルの仕事はできなくなった」

「こうゆう時はね、加害者が賠償金支払うことになってるんだが、モデルの収入3年分で借金の金額を支払ってもらうんだ。いや本当はもっと高いんだが、奥さんは素直に謝ったから半額でいいってあの女が言うんでね」と当たり前な口調で話し始めました。

私はそんな金を払える訳もないので、「主人に相談します」と言ってみるとその場は素直に帰ってくれました。

しかし、翌日にはまた同じ時間にくると昨日と同じ台詞を繰り返し言うと、今度は「いつ払ってくれるか、はっきりしてもらわないとこのまま帰るわけには行かないんだよ、奥さん」と言って1時間ほど玄関口に立ったまま、部屋の様子を伺いながら私をにらみつけました。

翌日になるともう私は半分ノイローゼになって、気が狂いそうになり旦那にも「なんとかもう来ないようにできないの、私もういや」と泣きながら言ってみましたが旦那は「そんな金払えるわけないから、なんとか自分で追い払えよ、おれは昼間は仕事で忙しいんだ」と言ってろくに相手もしてくれませんでした。

翌日男たちがまた来ると「奥さんよかったら、替わりに奥さんがモデルの仕事をしてみていか。仕事の収入の半分をこっちに払ってもらえればいいから」と言い出しました。

私はそれは都合がいいと思いましたが、私がモデルなど出来るはずがないと思い「私がモデルの仕事をするんですか」と言ってみると「いや、奥さん、年の割りには若く見えるし、肌もきれいだし、小柄な割りには良い体してるし、シロートっぽい雰囲気がまたいいから、モデルにはぴったしだよ」と調子の良い返事が帰ってきました。

私はそんなに言ってくれるならモデルの仕事を引き受けてみようと思い男たちが用意してきた契約書にサインしました。

じゃあ、来てもらおうかと言われて駅前の事務所に案内されると、2階の奥は小さな写真スタジオになっていて、ソファーの周りには照明のライトや、ビデオカメラが置いてありました。

「じゃあ脱いでもらおうか」といきなり言われて、私はモデルさんだから服を脱ぐくらいは当たり前なのかしらと思って、服を脱いで下着だけの姿になりました。

すると、カメラの横に立っていた、大柄な男性がいきなり服を脱ぎ始めました。

私がびっくりしていると「なんのモデルだと思ってるんだ、アダルトビデオに決まってるだろう」とカメラマンが言い出しました。

私はとんでもない事になったと逃げ出そうとしましたが、すぐにソファーの上に押し倒されました。

欲望の儀式が始まる予感が、私の身体を襲いました。

私に抵抗する余裕を与えて、私を征服するのを楽しむかのように、男はゆっくりと私の身体を開いてきました。

竜巻のような激しい勢いで吹き抜ける嵐の中では、もう逃げることもできませんでした。

信じられない感触が私の体中に広がると、許しを請うことさえできなくなりました。

いつまで続くともわからない時間が私の心の中で凍り付いていました。

天高くまで舞い上がった私の身体は、最後の瞬間を求めて宙を舞い続けました。

男の欲望は私の体を十分に楽しむと、ようやく最後の一撃で私を打ち砕きました。

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