第45話
「じゃあ篠原くんとはそんなに話したことなかったんですか?」
「うん。実際に話したのはほんの数回かな。でも連絡先は交換していたから夜とかに連絡し合ってたりはしたよ」
「そうなんですね。じゃあ先輩は篠原くんとどうして付き合ったんですか?」
私と違って奈那子先輩は篠原くんと数回だけど直接会話をして、連絡先も交換している。
私とはまた違った理由か気になった。
「私も小春ちゃんとそんなに対して変わらないよ?」
「そうなんですか? でも聞いてみたいです」
「そう? ただ翔琉と話していると面白かったからだよ」
奈那子先輩の答えは私の予想していたものとはだいぶ違った。
「それだけ、ですか?」
「うん。最初に気になったのはそれだけだよ。私って結構単純なのかもね」
奈那子先輩は笑いながらそう言う。
私も凄く単純だけど。
「それでね、私クリスマスイヴに翔琉をデートに誘おうと思ってたの」
「そうなんですか?」
「うん。そうだよ。私今まで誘われることはあっても誘うことは一度もしなかったから緊張してね」
確かに奈那子先輩ほど可愛ければ自分から誘わなくても声をかけてくる人は多いと思う。
「中々誘えなかったんだ。小春ちゃんは悠斗くんから誘われたの?」
「いえ、私から悠斗くんを誘いました」
「え? そうなの? 悠斗くんが誘ったんじゃなかったんだ~。それだけ小春ちゃんは悠斗くんの事が好きなんだね。こんな可愛い女の子に好きになってもらえて悠斗くんは幸せ者だなぁ~」
奈那子先輩はそう言って、既に届いたカフェラテに口を付ける。
幸せ者は私の方だ。
悠斗くんのおかげで私は寂しい思いをすることはなくなった。
「そうだと嬉しいです」
私も悠斗くんを幸せにしてあげれていたら嬉しい。
好きな人を幸せにしてあげたいと思うのは普通の事だ。
「それで話を戻すとね、恥ずかしくて中々翔琉にデートの誘いができなくて、翔琉って結構モテるでしょ? だからもう誘われてたらどうしようって思って」
「私のクラスでも篠原くんは結構話題になります」
「だよね。それで何度も文字を打っては消してを繰り返してたらね、翔琉から連絡が来たの。クリスマスイヴの日は空いてる? って」
奈那子先輩は凄く嬉しそうな表情をしてその時の事を話す。
好きな人からそんな事を聞かれたら嬉しくなるのは当然だ。
「それが嬉しくて教室で変な声出しちゃって恥ずかしかったなぁ」
「嬉しかったんですから仕方ないですよ」
もし私が奈那子先輩と同じ状況になっていたら、私も奈那子先輩と同じような事になっていたと思う。いや、なっていたと言える。
「それでクリスマスイヴにデートすることになって、私絶対にその日に告白しようって決めたの。翔琉へのクリスマスプレゼントも色々な人にどんなものが良いか聞いて回ったし、ネットでデートについて調べつくしたの」
「私もです」
初めてのデートで分からない事ばかり、ネットを頼るしかない。
デート前日まで毎日ネットでしてはいけない行動や彼氏が喜ぶ行動まで調べた。
「それで告白の言葉も考えて考えてようやく納得した言葉さえ言えなかったんだ。私勇気も自身も無いし、断られるのが怖かったんだよね」
もしあの時、私が悠斗くんに告白した時に、悠斗くんが私の事をふっていたら。私は今も一人で寂しい日々を送っていた。
私もあの時は凄く怖くてドキドキしていた。
こんな私と付き合ってくれるのかなって。
「でもね、翔琉が言ってくれたの。好きです、付き合ってくださいって」
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