あのーなんかいい感じにいい感じでアレしてください #3

「あ、申し遅れました。小官はセツ防衛機構第八防疫軍第五十八師団第二連隊長付き特殊支援分隊長、フィン・インペトゥス准尉であります!」

「ほう、尉官であるか。エリヰトであるな。」

「い、いや、色々と特殊な生まれでありますし、父のコネもありましたので……それよりも、ソージューローどの、でありましたよね? あなたのことを伺いたいでありますっ!」

「小生はロリコンである。」

「何だこの人ー!?」


 二回目。


「うぅおおおおおおお!! いい加減にしろやこの乳ゴリラがァッ!! ちょっとパイオツがでかいからって下手にでてりゃあつけあがりやがってこの野郎てめえ揉ませろくださいお願いします!!」


 ジャンピング土下座を決める烈火。


「お断りだッ!! だいたい貴様、なんだそのふ、ふ、ふしだらな格好はッッ!! そのバキバキに割れた腹筋をさらけだしてシャーリィ殿下を誑かしたのかこの悪魔めッッ!! 恥を知れッッ!!」

「オーケーわかったこうしよう腹筋触らせてやるからおっぱい揉ませろこの野郎」

「な……ッ!! ばっばっばっばっばかなことを言うなこの色欲魔めッッ!! わたしはそんなものにはぜんぜんまったく興味なーいっ!」

「オヤオヤ? オヤオヤオヤ? リーネきゅんはどうして目を逸らしたのかにゃ? ぜんぜん興味ないなら別にフツーに見ればいいんじゃないかにゃ? 烈火くん頭悪いからよくわかんないんだにゃ~」


 女騎士の周りを男が飛び回りながらパンツ一丁で腹踊りしだす事案が発生!!


「にゃ~んにゃ~んにゃにゃ~ん♪」

「ぅぅぅぅぅぅうううううううううっっ!! そ、そ、そこに直れェッッ! その邪知淫蕩なる腹筋と共に叩き斬ってくれるわッ!!」


 ハルバードを構え直すリーネ。斧頭を使う気だ!!


「まったく、何をやっとるかな、あの二人は……」


 眉間を揉み解す総十郎。

 いやあなたも相当変ですからね? という言葉をフィンは寸でのところで飲み込んだ。

 ……と。

 いまだギャアギャア騒いでる半裸と爆乳の間に、するりと入り込む小柄な影が一つ。


「なっ! 殿下! 危ないです! お退きを!」

「そーだこの野郎! 俺は胸の下半分に影が描画されない生き物に用はねえんだよしっしっ!!」


 双方から言い募られるシャーリィだが、ふわりと包み込むような笑みを浮かべて白く華奢な両手を差し伸ばした。

 世紀末伝承者と爆乳女騎士の手首を掴むと、それぞれを自分の胸と腹に押し付けた。


「…………」


 烈火の手はシャーリィの胸に。


「…………」


 リーネの手はシャーリィのおなかに。

 水を打ったような沈黙。

 ぜんぜん意味がわからない。

 総十郎だけがうんうんと頷く。


「なるほど。双方の求める物を自分が差し出すことで争いを収める……なんたる気高き自己犠牲か。あれこそ貴種の鑑である。」

「そうなんでありますか!? あれそういう意味なんでありますか!?」

「惜しむらくは小生が愛を捧げるにはいささか薹が立ちすぎている点であるな。あと五年、いや四年も若ければ抱き上げて頬ずりおよびナデナデおよびクンカクンカしたかったものであるが……」

「うわぁもうなんだこの人!!」


 一方、固まってる三人。


「あ、あの、殿下? いや、その、全然割れてないぷにぷにの可愛いおなかをあてがわれても非常に反応に困ると申しますか、というか殿下ちゃんと食べておられますか? リーネは少々心配です」

「あのーごめんなんかすごいごめん罪悪感しか感じない感触だわこれちょっと哀しくなってきたごめん俺が悪かったからそろそろ手離してもらえませんかこの野郎」


 なぜか恐縮して正座する二人。

 シャーリィはその前にふんぞり返り、「めっ」とばかりに二人の額にチョップをペチッ。星のエフェクトが出た。


「「あ、はい。なんか、あの、すいません」」

「見たまえフィンくん。二人の猛者があっという間に頭を垂れた。カリスマとはああいうことを言うのだよ。」

「小官の中でカリスマという言葉の意味が揺らいできたであります……」


 フィンは頭を抱えた。

 柔らかそうな金髪をふわりと揺らして、シャーリィはこちらを振り返った。

 ちょいちょいと手招きしてくる。


「お招きである。参ろうか。」

「は、はい……」


 二人でそばに行くと、シャーリィはその場に正座した。

 そしてぽんぽん、と自分の側の苔の絨毯を手で叩いた。

 促されるまま腰をおろすフィンと総十郎。

 ……というわけで、なんか五人の男女がその場に車座で正座したのであった。

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