03・必要か否か
さて今日は、01の章でお話しした「読者層」の問題です。
といっても論点自体はシンプル。「これまでファンになってくださった人の層を重点的に狙う」か、または「他の戦略などとの兼ね合いを考えつつ、しかるべきターゲッティングをして新規開拓をする」のどちらかしかない。少なくとも私はそう考えています。
マーケティングの常道としては、そもそも経営や商品開発を始める前に、後者を行うべきです。しかし、私はもうネット小説のアップロードを始めて結構な年月が経っています。過ぎたことを言っても仕方がない。
また、仮に改めてターゲッティングをするとしても、別の疑問があります。
そもそも、特定の一つの層は、みんな同じ読書――というか「同じジャンルのネット小説を閲覧する」のか?
普通の商品であれば、同じ層は、まあまあ同じようなものを買います。若く経験の浅いプログラマーは、便利機能の充実したテキストエディタを欲しがるでしょうし、齢を重ねたご婦人の化粧品は、若い女性向けのものとは異なる作りをしているはずです。
しかし、ではネット小説は?
一部では「ネット小説の読者層はほとんどが三十代とその前後、そしていわゆる負け組の男性である」という統計があるかのように語られています。
しかし本当にそうか?
私の見聞きする限り、そこまで具体的なレベルでユーザーが偏っているようには見えません。仮に読者の属性がそうだとしても、彼らは他の商品と同じぐらい、特定のジャンルや要素に集中するのだろうか?
そうは思えません。あったとしてもきわめて大雑把な傾向に過ぎないと考えます。
反証となる統計を持っているわけではありません。しかし、常識的に考えて、このような狭すぎる層が市場の顧客の大多数を占めていて、しかもそろって同じ傾向の小説だけを読むなんて、ありえないでしょう。属性が同じだとしても、彼らの感性や経験、興味の方向が全部、まるで軍隊のように均一だなんて、あるわけがない。
で、結局、読者層をどう考えるか。
……結局は「競争の激しいジャンル」に飛び込む――そして「競争の少ない要素」で勝負する、と決めた以上、ここで改めてターゲッティングをすることに意味を感じません。
これにはさきほど述べたように、ネット小説に限っては、顧客の属性から需要を計算することが難しいのではないか、という理由もあります。
うーん、なんかこのエッセイ、月並みな結論ばかりだな。
とはいえ私の頭では、結局それらが最善だろうと考えています。奇をてらった結論は簡単ですが、たった一つの手で何もかも好転するのもありえません。そう主張する人がいたら、詐欺を疑ってください。マーケティングもきっと同じです。
読者層に関しては以上です。
次回のテーマはどうするかなー。
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