零細作家が野心のためマーケティングを試みるエッセイ

牛盛空蔵

01・初っ端から悩みまくり

 皆さんこんにちは。ネット小説界の吹けば飛ぶような零細作者、牛盛と申します。

 このエッセイでは、俺氏が試行錯誤しながら、マーケティングほか聞きかじりの経営技術を使おうとするさまを実況したいと思います。

 でもなかなかうまくいかねンだわ……。

 とりあえず、なろう系にならって、ステータス画面風に自己紹介をします。

 この自己紹介は、たぶん今後、マーケティング的に重要な意味を持つので、とりあえず覚えておいてください。もちろん逐一、争点ごとに繰り返しはしますけどね。


【ペンネーム】牛盛空蔵


【得意なカテゴリースキル】中世から近世の戦記、群像劇、シリアス、軍師俺SUGEEE


【苦手なカテゴリースキル】ラブコメ、ゲーム的世界のファンタジー、ハードSF、長編ミステリー……だが、だいたいは中途半端なクオリティでもいいなら、とりあえず書くことはできる


【その他スキル】雑学+、法律学+


【執筆速度】遅い


【長さの得手不得手】特に無いはず


 この自己紹介をご覧になって、何か気づいたことがありますよね。


 そう、需要と得意分野が食い違っているのです。

 他を圧倒し、かつ利益、というかこの場合は集客を見込める特性のことを「コアコンピタンス」といいますが、そのコアコンピタンスがネット小説界の需要から大きく外れている。

 しいて言えば軍師ものが、そこそこ需要にヒットしているかもしれません。しかしそれを考慮しても、最近需要が伸び調子のラブコメや、市場規模の成長が頂点に達しているなろう系――特に軍師系以外が上手く書けないのは、ちょっときついですね。

 また、執筆速度が遅いのも痛い。ネット小説では、新しい話を毎日アップするのが上策とされています。読者は極めて流動的なので、集客効果を維持し続けるためには、速度を上げるか、書き溜め等の手段で補う必要があります。


 そこで選択の時です。


・業態変更、つまり市場に合わせて自分の分野を変更する


・コアコンピタンスを活かしつつ、人気要素を取り入れる。つまり既存のリソースを使いながら、方向性を需要に寄せる


・市場やコアコンピタンスにとらわれない新機軸を打ち出す


 業態変更は言わずもがな。野球で言えば守備位置変更。これまでの蓄積の大部分を凍結し、新しく鍛錬を行うことです。

 欠点はこれまでの経験の大部分を捨てることです。極端にいえば素人同然の状態から始まるんですね。

 二番目の、どうにも中途半端な試みは、まあ「流行りに寄せる」の一言に尽きますよね。大部分の作家さんがやっているようなことです。

 みんなやっているので、組み合わせなどには尋常ならざる発想と技術をもって臨まないと、他との差別化が難しい。

 新機軸。これはもう博打ですね。結果が予測できない。


 で、どうするか。

 ここで思い出してほしいのは、これが「ネット小説」であることです。

 連載を未完のまま永遠に放置することは、ネット小説界では最悪の手とされています。

 ところがしかし、適度な範囲で連載を掛け持ちすることは、別に禁止されていませんし、マナーにも反しません。

 リソースの集中の観点からは、ある程度は絞った方がいいですし、とりあえず永遠放置をしないことは必要です。しかし二本か三本ぐらいなら、まあ許容範囲ではないでしょうか。

 そしてその数本の内訳は、「コアコンピタンスを活かしつつ流行りに寄せたもの」と「全くのジャンル変更、守備位置コンバートに類するもの」の二つが妥当と考えます。……考えますが、まあ平凡な結論ですよね……。

 ちなみに「ラーメン発見伝」という漫画シリーズの、芹沢というラーメン職人……というか経営者は、「自分の作りたいもの」と「流行りに寄せまくり、他を完全に振り切ったもの」の二品を提供するという芸当をしていました。優秀な販売者ですね。


 ところで、ここで私が示した戦略にはいろいろ問題があります。

 執筆速度は、掛け持ちしてさらに下がるのではないか。自分の読者層にヒットするのか。そもそも、需要つまり流行りに寄せることは正しいのか。

 それは今後追々話していくので、どうか続きをお待ちください。よろしく!

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