第8話 ~Mside~ ④ポンコツな脳みそ

最近、全然彼とゆっくり話せていない。


仕事が忙しいだろうと気をまわして

彼の部署に顔を出さないようにしていたけれど…


そろそろ限界…

禁断症状だわ…"(-""-)"


彼に会いたい

いろいろと聞いてほしいことがある

いつものように相談したい

そして彼の冗談が聞きたい

彼の意地悪く笑う顔が見たい



あ~~~~~~~~!!!


もうやめよう!

彼のことだ。

どんな状況だってプロフェッショナルに仕事する。


だからたまに私が来て話すくらい

彼にとってはどうってことないはずだ!

変に気を遣うのはやめよう。


ご飯に行かないまでも

ちょこっと話すくらいならきっと大丈夫!



自分にそう言い聞かせて

久しぶりに、彼の部署に顔を出した。


例の女性の姿はなかった。

あ、今日はひとり残業なのね。

よかった。話ができるチャンスかも。



集中している彼に気づかれないようにそっと近づく。


わっ!!


わざと驚かせるように声をかけた。


彼はすごくビックリして、しばらく声が出ない様子だった。

そこまで驚かせるつもりはなかったんだけど…


急に驚かせてごめんなさい。

そう謝ると、いつもの顔にもどって


いや、ちょっと考え事をしてたもんだから

気づかなくてごめん。

と謝り返された。


別に彼が謝る必要はまったくないのに、ホント優しい人だ。



そして今までと同じように

私の愚痴や悩みを聞いてくれて

解決の糸口をアドバイスしてくれたり

相も変わらず、私だけに口の悪い感じでからかったり

久しぶりに彼との時間を楽しんだ。



1時間くらい過ぎて、さすがにそろそろ帰ろうとした時

急に引きとめられて、


ねぇ、映画に行かない?

って誘われた。


今まで、同僚として、一緒に残業したり

お喋りしたり、帰り道にご飯食べに行ったりしていたけど


『映画』なんて初めてのお誘いで

恋愛慣れ、男慣れしてない私は、

頭の中が真っ白になってフリーズしてしまった。



そのあと、彼になんて返事したのか

彼とどんな会話をしたのか

まったく覚えてないんだけど、

無意識に返事をし、無意識に会話をして

どうやら、『映画に行く』ということになったらしい。


じゃ、また連絡するね!という彼の言葉を最後に別れた。



私、なんて言ったんだ?

彼とどんな会話したんだ?


ホントにポンコツな脳みそだな、おい!


え?なんかめっちゃ緊張するんだけど~!!!( ゚Д゚)

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